アラニュエの森 (ページ48)

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#弟子ページ48

「サク、聞いて！」

バン、と開いたドア。

椅子に座って本を読んでいた櫻井が振り返った。

ドアの前にはマサとユキがいた。

「うん、分かったけど、部屋に入るならノックしてくれるかな」
「あ、ごめん」

頭を掻いて、部屋に入ってくるマサ。

「あのね、俺、サトちゃんの弟子になったよ！」

まばたきをした櫻井。

「えっと……それはどういうこと？」

そのまま、櫻井は首を傾げた。

マサは目を輝かせている。

「学園に通える！四年生になれるの！」

おぉ、と櫻井の目が丸くなった。

となると、サトとの話し合いもうまくいったのだろうか。

「良かったじゃん！」
「よかった、ありがとうサク！」
「え、俺？俺は何もしてないけど」

ううん、と首を振るマサ。

「サクに相談してよかった。サクのおかげだよ」

そっか、と呟く櫻井。

何もしてないとは思ったが、マサがそう言うならそういうことにしておこう。

ガチャ、と隣の部屋のドアが開いた音がした。

「騒がしいですね、何があったのよ」

顔を覗かせたのは二宮。

迷惑そうな顔をしている。

ユキは二宮に近寄っていき、二宮は反射的にユキの頭を撫でた。

「あ、ニノ！俺、サトちゃんの弟子になったの！」
「はい？自称弟子から抜け出せたの？」
「そう！ ……ん？自称弟子？」

頭にハテナを浮かべたマサを見て、苦笑した櫻井。

二宮の言い回しは少し独特なのか、言語通訳がうまく働かないことが多いらしい。

「自称弟子も通じないの？何が通じるのよ、ここの言語は」

顔をしかめた二宮。

それなりの期間を過ごして、伝わりやすい言葉と伝わりにくい言葉があることは、櫻井も松本も二宮も気付いている。

サトとマサもそういう言葉があることには気付いていて、言語通訳がうまく働かないということは少なくなってきた。

お互いの惑星についての情報交換が進み、知識としても語彙が増えたことも関係しているのだろう。

それでも、たまにこうやって引っかかる。

「マサ、前はサトちゃんの弟子って言ってたけど、サトは住みついてるだけだって言ってたでしょ？」
「うん」
「自称弟子って、その状態」
「……あぁ！」

マサも納得したらしい。

「ニノ、あのね、ちゃんとサトちゃんの弟子になったよ」

嬉しそうに二宮にも報告をするマサ。

「……そう、良かったじゃないの。弟子になりたかったんでしょ？」

頭を掻いた二宮。

からかおうとしていたが、あまりにマサが嬉しそうだったため、やめたらしい。