アラニュエの森 (ページ47)

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「蓋外せます？」

二宮が宇宙船の内部を見回して、そこ、と端を指さした。

エンジンの状態が分かる場所の一つだ。

じとっとした目で二宮を見た松本。

「二宮も手伝えよ」
「いや、私はちょっと戦力外なんで」
「嘘つけ、やりたくないだけだろ」

しぶしぶ、二宮も近寄ってきて蓋に手をかける。

この蓋はかなり固いのだ。

二人がかりでやっと外せる。

「いってえ……指いってえ……」

ぼやいている二宮は放っておき、中を覗き込んだ松本。

すぐに状態が分かって、苦笑した松本。

この故障の原因は、ワームホールではなく落下の衝撃だ。

地面に落ちたときにそのまま滑ったらしいことは、木の倒れ方を上空から見たため分かる。

そのときに、どうやらエンジンを地面に擦ってしまったらしい。

「あーなるほどな……二宮も見て、これ」
「はいはい、どうなってんの？」

二宮も指先を押さえながら、中を覗き込む。

「あー……そういうことか。反対側も見ます？」
「そうだね」

通常のエンジンは二箇所にある。

反対側の蓋も苦戦しながら外して、中を覗き込んだ。

「こっちの方がまだマシ？」
「そうですね、まだこっちの方が」

見ながら話していると、ちょうど外にいる櫻井と目が合った。

エンジンカバー自体も壊れていたらしい。

となると、エンジンも剥き出しのはずだ。

「これ、直せると思います？」
「いや、さすがに無理だな……こういう壊れ方をしてるとは思わなかった」
「私も想定外ですね」

両側のエンジンが同じように擦れていることから考えれば、滑ったというよりも転がったのかもしれない。

結果として、ちゃんと着陸した状態で止まったものの、エンジンが壊れてしまったのだろう。

内側からはそれしか分からない。

立ち上がって入り口に向かった二宮。

「櫻井さん、やっぱり部品ってなくなってますか？」
「なくなってるね。だいぶ足りないよ」

松本も入り口に向かう。

「そもそもエンジンカバーもないし、エンジンの本体もえぐれちゃってる。線が切れてたりするし、燃料タンクも怪しいよ」

櫻井も見て回ったらしい。

困ったような顔をしている。

そんな櫻井をじっと見ているサトとマサ。

「サク、この宇宙船はもうダメなの？」
「そうだね。前に来た時は暗かったから細かいところまで見れなかったんだけど……こんなにエンジンの壊れ方が酷いとは思わなかった。直せないよ」

首を横に振る櫻井。

この宇宙船で宇宙に出ることはもうできない。