アラニュエの森 (ページ44)

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＊もじページ44

思った以上に帰りが遅くなってしまった。

すっかり明るくなった空を見上げて、苦笑する。

「まさか学園で夜を明かすとはねえ」

タツ先生や他の先生も交えて話し合っていて、気づいたらこうだ。

今日も一応授業はない、ということで帰る許可をもらったが、授業があったら帰れなかっただろう。

門番に頭を下げると、目を丸くされた。

「サト先生、今お帰りなんですか？」
「そう。野暮用で学園に来たら長引いちゃって。いつもお疲れ様」
「お疲れ様です」

ふわあ、とあくびを一つしてから、箒に乗る。

また落ちる、なんてことはしないようにしたい。

家に向かって飛びながら、街を眺めた。

いつも通りで、特に変わったようすもない。

今度は森に目を向ける。

外から見れば普通の森だが、結界の中に入ればすぐにあの落ちてきた宇宙船が目に止まる。

結界のおかげで、宇宙船が落ちてきたということはまだ知られていないらしい。

「あの辺、目くらましでもかけないとダメかな……あのままだとやっぱりまずいよなあ」

上空にしばらく浮かんで考える。

この森は、サトの師匠から譲り受けた土地だ。

それなりに広い森であるが、サトの家は森の奥の方にある。

街に近い方の森は好きに出入りしていい、と伝えてあるため街の住人たちもよく出入りしている。

ただ、森の上空だけは飛ばないように伝えているのだ。

ある程度の距離から、森の上空には結界を張ってある。

家に近い範囲では、家に続く道以外の場所は結界が張ってある。

この結界はサトが張ったものではなく、サトの師匠が張っていた結界だ。

サトの師匠は人との関わりを極力避け、森にも人が近づかないように何重にも結界を張っていた。

結界に不用意に触れてしまうと遠くへ飛ばされるし、悪意を持って森の中に入ろうとすると、最悪の場合死ぬ。

そのくらい、結界の中でも強力な結界が張られている。

その結界も、サトがそのまま引き継いだのだ。

結界に異常があればサトも気づくようになっているため、師匠はどうやらサトにも結界を管理する権限を渡してくれていたらしい。

ただ、サト自身が結界を張ったことはない。

うーんと考えたまま、結局家に向かって降りていく。

またあとで考えよう。

家の庭に着地してリビングを見たら、マサと二宮が机に伏せて寝ているのを見つけた。

「あれ」

サトは目を丸くする。

ここで寝ているということは、帰りを待っていたのか。