アラニュエの森 (ページ33)

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「サクのところでは、何年生かになったらみんな通わなくなるの？」

そう聞いたら、櫻井が目を丸くした。

「え？まあ、そうだね」

やっぱり、この惑星とは違うのだ。

ふーん、と小さく呟くと、櫻井が首を傾げるのが分かった。

「もしかして、卒業っていう考え方がない？」
「ソツギョウ？」
「あ、その考え方がないんだ……」

マサが首を傾げると、何年か通ったら教育機関を出て、別の教育機関に進んだり、仕事をするようになるのだ、と教えてくれた。

教育機関を出ることを、卒業というらしい。

ついでに教育機関についても聞いてみたら、ここでいう学園のようなもの、と言われた。

「サクがいたところは、そんなに教育機関がたくさんあるの？」
「そうだね。自分のところは、小学校、中学校、高校、大学、大学院、って感じだったかな」

聞いたことがない言葉だが、きっと教育機関の名前なのだろう。

どことなく浮かない顔をしているマサに気づいたのか、櫻井が眉根を寄せた。

「どうかしたの？」
「え？いや、ううん。何もないよ」

卒業かぁ、と呟くマサ。

櫻井は不思議そうな顔をしたまま、マサに聞く。

「サトは学園の先生だって言ってたじゃん？」
「うん、そうだよ」
「ってことは、サトは学園に通ってたの？」

難しいことを聞いてくる。

マサは苦笑した。

「うーん、サトちゃんはなんだろうね……それで言ったら、今もまだ学園の学生なんじゃない？」
「え？」

目を丸くした櫻井。

思った通りの反応だ。

「うまく言えないんだけど……学園って、たぶんサクが言う卒業っていうのはないの。好きなだけいれるし、三年生が終わったら行きたくない人は行かなくてもよくなるの。サトちゃんはね、それでそのまま学園に残ってるんだと思う」

櫻井が眉をひそめるのが分かった。

「サトちゃんの師匠も、そうやって学園に残ってた人みたいでね、お手伝いしてたんだって。サトちゃんの師匠に代わって、たまに授業をする学生だったみたいなんだけど、いつからか学園からも正式に先生って認められたから、そのまま学園で先生をやってるって言ってたよ」

目をパチパチさせて、へえと呟いた櫻井。

「そんなことがあるんだ」

頬杖をついたマサ。

自分も、三年生が終わったあとにどうするかを考えないといけない。

そのまま学園に通い続けるか、学園に行かずに別のことをするか。