アラニュエの森 (ページ16)

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ご飯を食べる頃になっても、松本は起きてこなかった。

食べ終わってマサが片付け始めた頃に、やっとのそっと姿を現した。

「あ、おはようマツ！ご飯用意するね！」
「……ごめん、ありがとう」

くしゃっと頭を掻いて、申し訳なさそうにしている松本。

大丈夫だよ！と元気にマサが返事をしたのを見て、櫻井は庭に出た。

そのまま空を見上げていると、二宮も気になったのか庭に出てくる。

「どうしたんですか？」
「いや、不思議だなって思って。この惑星はどうも、あの恒星を中心に回っているらしいんだけど」

櫻井が指さした方角を見る二宮。

そこから肉眼でギリギリ見えるくらいの、微かな光が放たれていた。

「え、あれが恒星なんですか？」
「うん、サトが言ってた。サトも宇宙については少し研究してたみたいで、知ってたよ。でも、どうもこの惑星は恒星が中心になってここまで栄えたわけじゃなさそうなんだよね」

うーん、と首を傾げる櫻井。

位置天文学を専門としていた身からすると、そういう部分が気になる。

恒星があったとしても、あれだけ遠いか小さい恒星ならば、こんなに繁栄している惑星があるだろうとは普通思わない。

「じゃあ、ちゃんと空が明るくなったり暗くなったりするのはどうしてなんですか？」
「それもサトに聞いた。あれだって言ってたけど、直接見ない方がいいよ」

今はちょうど真上にある、白く光っている物体を指さす。

二宮は目を細めて見ようとしていたが、目が痛くなったのかやめた。

「本来はこの惑星はずっと昼か夜かのどっちかなんだって。でもそれだと困るから、人工的にいい頃合いで昼と夜を切り替えてるんだってさ」
「人工的に、ですか」

肩をすくめた櫻井。

「魔法だって言ってたけどね。それを仕事にしてる人が学園にいるんだって」

へえ、と今度は植物を見ている二宮。

学園の学生だというマサも、かなりの魔法を使いこなしているような感じがする。

学園はかなりしっかりした教育機関なのだろう。

「よほど、その学園ってのはすごい場所なんでしょうね」
「みたいだね。その学園の先生だっていうサトも、結構すごい人なんだと思うよ」

はは、と苦笑した二宮。

「講義をサボる先生、ね。櫻井さんもそうでしたよね」
「そこは掘り返さなくてよくない！？」

抗議をした櫻井に向かって肩をすくめて、二宮は家の中に入っていく。

「二宮だって講義はサボってただろ……」

呆れながらも、櫻井も家の中に入っていった。