アラニュエの森 (ページ14)

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「マサがさっき言ってた結構偉い先生って、そういうこと？」

松本が首を傾げている。

余計なことを言ってくれたものだ。

サトは苦笑する。

「まあ、そうなるのかなあ……僕の師匠だった先生が引退しちゃったから、僕がその後を引き継いだことになってるみたい」

誇らしげに胸を張るマサ。

「そのサトちゃんの弟子が俺なの！」
「だから、住みついてるだけでしょ」

えー、とふてくされているマサを見て、二宮がふふと笑った。

あれ、とマサが目を丸くする。

それだけで済んだら良かったのだが、椅子から立ち上がって机に身を乗り出した。

慌ててマサの膝から飛び降りたユキ。

「ニノ、笑うとかわいいじゃん！ずっとなんか難しそうな顔したり、不思議そうな顔をしてたから……イテッ」

片付けていたコップを一つ、マサの頭に当てる。

頭を押さえて、すごすごと椅子に戻ったマサ。

「やめなさい。ニノも困るでしょ」

サトが呆れた顔をすると、櫻井と松本もくすくす笑い始める。

二宮は目を丸くしていたが、またふふ、と笑った。

「ほら、サクとマツにも笑われてるよ」
「ごめん……」

しゅんとしたマサ。

マサの膝の上から追われたユキが、今度はサトの膝の上に乗ってくる。

「マサは何の勉強をしてるの？」

櫻井に聞かれて、また元気になったマサ。

「今はね、土魔法学と魔法薬学の勉強してるんだ！あとはね、生活魔法もやってるの」

へえ……と感心している三人を見て、苦笑いをしたサト。

「土魔法学は去年落としたからやってるんでしょ」
「ちょっ、言わないでよサトちゃん！」

途端に焦り始めたマサを見て、ユキがひとつ吠える。

「ほら、ユキもちゃんと勉強しろってさ」
「してるもん……水魔法学は学年トップだったもん……」

いじけているマサに、サトは顔をしかめる。

「それは僕が教えてあげたからでしょ？飛行術学も、僕が教えたから成績がよかっただけでしょ」

今度は口を尖らせて、ケチ！と叫んでいる。

「土魔法学もサトちゃんが教えてくれたらよかったのに！」
「全部僕に頼ろうとしないでよ」

櫻井と二宮と松本が三人で顔を見合わせて、苦笑しているのが見えた。

「わかった。魔法陣の書き方だけ教えてくれない？」
「……はいはい、魔法陣ね。わかったよ」

肩をすくめたサトを見て、やったあ！と喜ぶマサ。

遊んでくれると勘違いしたのか、そんなマサにユキが飛びついた。