アラニュエの森 (ページ19)

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「サトもマサも外に出るときは絶対にマントを着てるよね？それも何か関係してるの？」

今度は松本が聞いてくる。

「うん。魔法を使いやすいのもあるし、マントで学園の関係者ってすぐわかるから楽なんだよね」

立ち上がって、マントを取りに向かう。

三人の前で、マントを羽織った。

マサはちら、とサトを見たが、ふてくされてユキを乱暴に撫でている。

ユキも痛いのだろうが、じっと耐えていた。

「マントをこう羽織るじゃん？留めてるこれ。これが学園の校章なの」

首元を指さすと、三人がじっとそれを見るのがわかった。

「校章自体に魔法がかかってて、学園関係者以外はそもそもマントを羽織れないようになってるから、これだけで身分証明になるの」

無理矢理羽織ろうとするとピリッとするの、というと二宮が目を丸くした。

「それ、電流ってことですか？電気があるの？」
「電気？うーん、雷みたいなものだと思うけど」

首を傾げると、二宮が雷は電流なのだ、と教えてくれた。

空と地面の間か、空の雷雲の中で電位差が発生した時の放電で雷が落ちる、だのなんだの言っていたが、サトはあまり理解できなかった。

マサも不思議そうな顔をして、二宮を見ている。

「……この世界では、雷はどういう認識なんですか？」

ピンと来ていないサトとマサを見て、二宮も首を傾げる。

「精霊が落とすの。神様が怒ったときに、精霊が代わりにピシャーンって落とすんだよ。だから雷はあんまり見ないかなあ」

マサの答えに、今度は二宮が不思議そうな顔をする。

「精霊？魔法以外にも精霊なんてものがいるの？」
「いるよ」

二宮に顔を見られたため、サトも頷いた。

へえ、と二宮は小さく呟いている。

「マントの話は分かったけど、その魔力を持たない学生はどうやって学園に入ったの？聞く限り、マントと杖は補助的な役割を果たすだけで、それそのものが魔力を持ってるわけではないんでしょ？」

櫻井に言われて、また頷く。

サトは杖を一振りして元の木の棒に戻し、マントを脱いだ。

「マントも杖も、魔力は持たないよ。使う人の魔力の量に左右される。でも、魔力石ってのがあってね。それは、魔力がない人でも魔法を使えるようにするための石なの。その人は魔力石のペンダントを持って、マントと杖の補助を借りて魔法を使ってたみたい」

杖も魔力石も結構高いものなんだけどね、とサトが呟くと、松本が苦笑した。

マサが言った「お金持ちの子」とはそういうことなのか。