10eme livre Mort de cuisinier

Quatre-cent-soixante-treize ページ41

「そうですか…黒翔さんの力でも見つからないとは…」

『まぁ、相手もそこまで馬鹿じゃないって事だよ』


というより本人だから
見つかるわけがないんだけどね



『でも安心して

“危害は加えさせない”からさ』

「そちらは心配していませんわ」

『そ、じゃあ今は試験の方に集中だ』



打ち合わせに戻るように促すと
ﾍﾟｺﾘ、と一礼してから戻るえりなちゃん


一人になったところで



「お前の一人二役すげーな」

『まぁ、バレないようにってのは最優先ですから』



反対側からアサヒさんが来る



『ごめんね、えりなちゃん』



少し離れたところで指示を出す彼女の姿を目に入れると
聞こえないように謝った




『“俺の居場所に”危害は加えさせないよ』

「んじゃ、俺も最後の仕事すっかなー」

『ちゃんとお願いしますね』



僕の手のスマホの画面はメールの送信画面で



ーーーーーーーーー


ありがとう、当日の逃走道筋の確保もよろしくね

夕之介


ーーーーーーーーー


『味方に敵ありってね』

さ、まずは一学期末の準備だ



ーーー




「夏だ!」

「ビーチだ!」

「「「「青春だーーー!!1」」」」



太陽も上り詰めて
わらわらと集まる二年生たち



『あっつ…』

「試験管がバテてどうすんだ」


太陽が昇るって事は
勿論気温も上昇するわけで

準備を終えた後
木陰でダウンしてた僕をみかねてアキラが来てくれた



「ほら」

『ありがとー』




ペットボトルの水をあけると
汗をかいたボトルの水滴で手が濡れて、その手を首にあてると
少し涼しい



「熱中症か？」

『いや、ただの仕事疲れ
出先から直でここ来たからさ』

「あぁ、堂島シェフの」



横に座り込んだアキラが
僕の様子を見つつ、いなかった間の事を教えてくれる



『相変わらずあの三角関係でにぎやかだったんだねぇ…』

「お前の方もだぞ、A」

『ん？』



「お前と鈴木講師の兄弟の噂を変に誤解して
幸平じゃなくお前が薙切に言い寄ってるって誤解した奴が潤に聞きにゼミまで来た」

『なんじゃそりゃ』




おいおい


在学時は馬鹿のせいで潤さんに迷惑かけたけど
卒業してもそれは変わんないのか

情報の精査能力について勧めるか、なんて考えも浮かぶ



「安心しろ
どうせ潤は答えられねえと思って
全部デマだって訂正しといたから」

『わーいありがと』



すると



「一学期期末試験について説明しますわ」



『あ、ほら時間』

「おう」

『さっさと合格してきて、十傑第四席』

「体調管理も出来ねえ試験管に言われたくねえな」


なんだと失礼な

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