10eme livre Mort de cuisinier

Quatre-cent-soixante-huit ページ36

コケたえりなちゃんを起こして
持ってきた花束やお菓子を並べ
お茶を淹れるアサヒさん


「まるで、えりな様が少女漫画を
お好きだと…事前に知っていたかの様な
恐ろしい手口だ!」


あ、犯人僕ですって言ったら
怒られるのは必須だろうけど


「…っていうか
本当だったんだ、鈴木先生がえりなっちに言い寄ってるって」


僕に気づかないのか
目の前で極星寮のメンバーが覗き込む

あの時の野次馬生徒が早速広めたのか
アサヒさんの実力は瞬く間に知れ渡り

加えて高校生、特に女子生徒は
そういう話には興味があるのか、えりなちゃんを娶る発言が湾曲された上
アサヒさんも否定せずにアプローチしちゃうんだから

また大変な事になりそうだ...



「そして、鈴木先生といえばもう一人…」



その時



「たのもーー!!!」



執務室の中に豪快に現れたのは



「鈴木センセー!、ここに居んだろ!?
もっかい俺と…勝負しな!」


破天荒、って言う言葉がピッタリの幸平で

噂は専らこの3人
火の無い所に煙は立たない、というけれど
人の目、なんてもの気にしないこの二人と若干巻き込まれたえりなちゃんに笑ってしまう



でも、そろそろ執務室に来た目的を果たさせてもらおうかな



『ちょっとごめんねー、極星寮のみんな』

「「黒翔先輩!!」」

「いつから!?」

『鈴木先生がえりなっちにー、の所』

「最初かよ!?」


よいしょ、と極星寮のメンツの間をかき分けて
執務室を一応ノックして入ると
3人の意識がこっちに向く


「こ、ここ...黒翔さん!」

『えりなちゃん、それは鶏っぽい』

「おいおい、姫をトリ扱いかぁー?」

『いいじゃないですか、場所によっては幸運のシンボルですよ』

「黒翔センパイ!」



やっぱ...幸平を始めとする十傑の何人かには疑われている、ってのは本当のようで
真っ赤なえりなちゃんは例外に
少し、僕を見る目が今までと違うのがわかる


まぁでも


『はいこれ』

「なんすかそれ」


ピラ、と持ってきた申請を新戸さんに渡すと
後ろから幸平の声がする


『有給...強いて言えばちょっと授業休むね
って申請書』

「また、どっか行くんすか」

『...ふふ』



後輩の疑う声
全く、幸平らしくないね



『堂島さんからの指名のお仕事だから、
なーいしょ』

「...ﾌｯ」


ちょっとふざけて
人差し指を口にシーっと振り返ると
えりなちゃんがまたﾎﾞｯ!、と赤くなった



(「そういや....黒翔先輩と鈴木先生が兄弟ってヤツ」

「あー、 ‘‘美形兄弟’’の話?」

「アレも人気だよねぇ」

「...なんかあの先輩引き込まれそうな、妙な力が増してねぇか？」)

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