10eme livre Mort de cuisinier

Quatre-cent-soixante-deux ページ30

「黒翔先輩と鈴木先生が…」

「兄弟、だと…!?」



ふらふらになりながら、呆然と言った感じで呟く2人

アサヒさんの皿でノックアウトされたのに
まだ意識を保っていられるのは凄いな



そんな中でもアサヒさんは笑っていて



「そっ!、だからコイツは俺の皿なんて食べ慣れてるし、コイツに会いに俺はここにきたってのも一つの理由」

『…ﾊｧ』

「反抗期かよ、悲しいねぇ」

『誰が反抗期ですか』


ぐしゃり、とみんなの中で頭を乱雑に撫でられる
…本当に自由だなぁ、この人


すると


「まぁ俺らの事は置いといて
どうやら勝敗は決まったようだな？」


そう言って幸平の包丁を手に取るアサヒさん
どうやら
ノワールの時にも何度か見た道具勝負を幸平にも仕掛けていたらしく

でも、


アサヒさんは既に城一郎さんのナイフを手にしてる
ぶっちゃけると同じような力の幸平のナイフを得ても…と考えていると


「やっぱ要らねぇわ

すでに俺がゲットしてる業物の…
下位互換にすぎなかったみたいだな。」


予想内の反応で
横目にアサヒさんを見れば


「じゃあな、第一席」

『(コレはどう見ても…)』



期待はずれって顔をしているようにしか見えなくて

この後特訓してもらおうかと思っていたんだけど…機嫌悪いと大変なんだよな
少し迷う


「さーて
俺は総帥殿を医務室まで
お連れするかな

A、案内」

『あ、はい!』

「ついでにこの後相手しろ」

『げ…』

「げ、じゃねぇよ!」



バレたし

もう幸平達に用は済んだのか
えりなちゃんを抱えて調理室を出ようとするアサヒさん、ついでに特訓どころか憂さ晴らしという爆弾を僕に落としたけど

仕方ないから堂島さんにお任せして、僕もついていこうかと後にしようとした時



「……待ちやが……れ…
もう一回、勝負しろ…!!」

『…』「へぇ…」



ｸﾞｯ、とアサヒさんの肩を掴む幸平


しかし



『そこまでだよ、幸平』

「…ｯ!」


僕が割って入った事に驚いたのか
一瞬その力が緩む


『今の君じゃ敵わない』

「…なん、で…ｯ!」

『そんな状態で、何を作るのさ』

「…ｯでも!」


一生懸命否定しようとしているけど
もう僕でも押したら倒れそうじゃないか

仕方ないから
今度は僕が幸平の肩に手を置いて
少しだけ屈んで視線をあわせると


-ｿﾞｸﾘ


「…ｯ」

『諦めるんだ』

「黒翔君!」


ノワールの100%の意識で目を睨むと
限界だったんだろう、
ばたりと糸が切れたように倒れ込んだのを支えてやる

『(強くなって、また再戦すればいい)』

お前はそれが出来るって信じてるよ、幸平

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