Quatre-cent-trante-deux ページ47
Side you
何か夢見が良くなかったんだろうか
少しキツい、という意味を込めぽんぽんと回した腕を叩いても一向に緩めるどころか
さらに力を込めてくる
体格差的に振り解こうにも負けてるし
少し早めに電話を切り上げて、話聞いた方がいいかなと思ってたら…
“「ねぇA、何かゴソゴソ聞こえるけど
本当に風？」”
“「確かに!、そんな強風で外にいて大丈夫か？」”
本当に感がいい、と言いたいよ…
咄嗟に風なんて誤魔化したけど
よくよく聞けば電話越しの風の音と違う音
っていうのがバレたんだろう
でも話すわけにも行かないし…
『…ちょっと長電話で電波おかしくなったかな？
そろそろ切り上げようか』
“「おう!、じゃまた電話するからなー!!」”
“「…早く帰ってきてね」”
『うん、またね』
ﾋﾟｯ、と電話が切れた
さて…
『大丈夫ですか？、アサヒさん』
「…」
『何か悪い夢でも見ました?』
「…」
返事がない
様子を確認しようにも僕の肩に顔を隠すように乗せてるし、僕自身が身動き取れない
結局暫くそのままにしていると…
「…ガキの頃、」
随分小さな声で、ようやく喋ってくれた
「母親はロクな奴じゃなかった」
『…』
「父親はいねぇし、母親は酒飲みだし
とにかく、俺のガキの頃は普通じゃなかった」
小さい時か…
そのままアサヒさんは自分の過去を話してくれて
「数年後、母親もいなくなって
施設にいた時
ジョウイチローが来た」
『以前言っていた…
お世話になった料理人の方ですね』
ｺｸﾘ、と言葉はなくても頷いているのがわかる
「初めて料理が美味いとも思ったし
アイツの技術の一つ一つに、凄え感動した
それで、ジョウイチローが来る度手伝ったし
色々教えてもらったんだ」
『それで今のアサヒさんがあるんですね』
多分、小さい頃のアサヒさんにとっては…
初めて会ったお父さんみたいな感じで
嬉しかったんだろうな、と思う
僕も小さい頃父さんの調理を
見てるの好きだったし
「けど、」
ｸﾞｯと、アサヒさんの腕に力がこもる
「ユキヒラソウマに、全部持ってかれた…!!」
『…』
やっぱりか、
僕は直接会った事はないけれど
以前、進級試験の時に薊さんと対峙したのを画面越しに見た時から
なんとなく想像はできていたんだ
アサヒさんと同じサイバを名乗る才波城一郎さん
幸平君のお父さんで
なんらかの事情で日本に帰らなきゃ行けなくなって、アサヒさんに別れを告げた
幼いアサヒさんにとっては
もっと料理を学びたかっただろうし
一緒にいたかっただろう
Quatre-cent-trante-trois→←Quatre-cent-trante-et-un
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 76人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
blu (蒼)(プロフ) - ぷるさん» 「どーも!!、漸くオレの出番なんで、ちゃーんと食ってってくださいよ!」 (2021年4月28日 8時) (
レス) id: cb665f2842 (このIDを非表示/違反報告)
ぷる - 続編おめでとうございます！これからﾜｸﾜｸして待ってます！ (2021年4月26日 7時) (レス) id: 39613b56f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼 | 作成日時：2021年4月26日 2時
