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Trois-cent-soixante-onze ページ37

「おぉー!!」


会場に充満する野ウサギの香り
一番近い場で蓋を開けた
アンさんは


「本物です…!
どこまでもピュアな香気

まるで母なる者に抱かれているかのような安らぎ…!!!」



もう完全に虜だね

幸平君に突っ込みいれていた
反逆者側の牢屋の中じゃびっくりだ


「えぇええーーー!!!、マジで!!」

「野ウサギの出汁は邪魔になってねぇのか!?」



「すっげえな!、一色!!」

『こらこら…一応十傑側で敵なんだから』


竜胆は本当に純粋というか、
ある意味司と似たようなものがあるなぁ…


ふと、近くにいた紀ノ国さんの方を見ると
眼を見開いている、というより
驚いている

今、彼女は何を考えているのかな


すると、
丁度振り返った一色と紀ノ国さんの視線がぶつかる


「そんな怖い顔で見なくてもいいじゃないか、
本当に僕を目の敵にしているんだね」


「べ、別に…!」

「だって子供のころからそうだっただろ?

僕が出来ることは自分も出来なきゃ

直ぐに半ベソかいちゃってさぁ…」



うわー、暴露しちゃった…
そういえばリオが言ってたっけ


幼い頃、名門の一色家のしきたりで
紀ノ国さんの家で一色が生活をして
あらゆる知識を一緒に学んできたって

つまりは長い間
天才の隣で、自分の力との差を痛感してきた
という事


「いつもそうやって、
教科書通りの品しか作れない私の事馬鹿にして…!!

才能の差を見せつけられる側の身にもなってよ!!」


やっぱり、一色の言葉には
紀ノ国さんもカッとなったのか
いつもの冷静さをかなぐり捨てて、
今までの心の内を叫んだ


その声を聴いた一色は


「紀ノ国、

君は自分が積み上げた時間を
もっと褒めてあげるべきだよ

だって君が居なければ…


僕は料理を続けていたかどうかも
分からないんだから」


いつも自分の道を生き続けている一色
極星寮の時とか、とてもやさしく、明るい
初めてしっかり話したのは今年に
入ってからだったかな

けれど、


「こ……この味は…!!」



『なるほど、ね』




初めて一色の強さの理由を、
覗き見た気がする


そして、


此方の方まで漂ってきた香りは…



『…ハマグリ』

「へ?」


一色の椀物を口にしたアンさんも叫ぶ


「繊細な椀物を野ウサギと昆布で
仕上げるだけでも至難の技なのに…

蛤の出汁まで合わせている!!!」



「は…蛤ぃ!?」

「貝にジビエを合わせるなんてありなのか!!」



野ウサギのクセに
昆布のまろやかさ
蛤の塩味も合わせた


かなり複雑に組み上げられた味の中にも、
冒険心に遊びこまれた
とっておきの椀物


『超攻撃的和食も…先が楽しみだなぁ

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blu (蒼)(プロフ) - aiさん» 「はうっ!、来てくれて嬉しいけど…時間を忘れて遅刻とかしないようにね!?」 (2021年4月16日 9時) (レス) id: a91d8e524c (このIDを非表示/違反報告)
ai(プロフ) - 初コメです。この頃見つけて読み始めたのですがとてもおもしろくて最初から時間も忘れて読んでしまいました。続き楽しみにしてます。 (2021年4月15日 6時) (レス) id: 3517e93929 (このIDを非表示/違反報告)
blu (蒼)(プロフ) - ぷるさん» 「フン、さっさと書けば良いのだ、駄作者が…!、さっさと私やアサヒ様を出せ」 (2021年4月4日 11時) (レス) id: cb665f2842 (このIDを非表示/違反報告)
ぷる - 上手にかけてますよ!これからの行く末が楽しみです! (2021年4月3日 17時) (レス) id: 39613b56f2 (このIDを非表示/違反報告)
blu (蒼)(プロフ) - (o^^o)ピコ(o^^o)さん» 「んもう!アタシもさっさとフォルスきゅんに合いたいのヨ!!、ちょっとー…悪戯しちゃおうか・し・ら」 (2021年2月21日 6時) (レス) id: a91d8e524c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年1月27日 1時

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