8éme livre Mort de 3éme année

Trois-cent-soixante-neuf ページ35

勝利を決めた竜胆が
タクミ君に向き直る


「…おうアルディーニ、
お前の品も凄かったけどよ

でも今回ばかりはこのりんどー先輩が上だったらしいな」


「…えぇ、
今出せる俺の全力を皿に注ぎ込みました…

現段階では先輩の方が上、
悔しいが事実だ」


「素直じゃねえか…!」


あれ…
二人の会話を聞いてて、少しの違和感を感じる

気のせいか？
今のタクミ君…



『竜胆の事探るような目つきだった…？』



まさか、なんて考えた時




「Aーーーー勝ったぜーーーーー!!!」

『飛び降りてくるのはやめろ!？』



竜胆が調理台から飛び降りて…
抱き着いてきた


「んだよー!、折角お前の差し入れで元気出たんだからさっ!」

『それは買いかぶり、元々睡眠で元気で出ただろ？』

「今度調理用にくれ!」

『はは…いいよ』



なんて、嬉しそうにニコニコ笑う竜胆を見てたら
仕方ないなぁ…
なんて、全部許しそうになる

未だにテンションの治まらない竜胆の頭を撫でていると


「残るカードは…！
司瑛士VS一色慧、お題は……野ウサギ!!」


『ほら、司の勝負みようよ』

「おう!」



４th boutも残るは一試合


今の所は十傑側が一人確定で、反逆者は二人
このカードに勝てれば、
十傑側は同数で明日の5th boutまで持っていける



「…」

『相変わらず、洗練されてるというか、無表情っていうか』

「大分調子はいいみてぇだな!…ははっ!」



目の前の司は静かに手を進めていく



『しかもお題が野ウサギだからねぇ…』



丁度反逆者側でも丸井君が説明していて


「そう…うさぎ肉はフランス料理でも
非常によく使われる素材で
調理法も体系化されている

フレンチを得意としている
司先輩も当然料理し尽しているだろうな…」



確かに、フレンチ、イタリアン、ドイツ等
野ウサギを料理は典型的によく使われていて
クセの強く、肉質も固め


「Aと司の食戟もウサギ使ったしな!」

『あの時はウサギ(lapin)の方だから、少し違うよ』


今司が料理しているのは野ウサギ(lièvre)の方で、
野ウサギより、ウサギの方が淡泊とされている
だから僕あの時レバーとか使ってたしね



『対して、和食は…ジビエの文化がないわけじゃないけれど』

「ああ、和食で野ウサギはあまり聞かねーな」


昔の日本にも、確かに狩猟文化があり、
ウサギが食べられなかったわけじゃない
けれど、

途中から少しだけ嫌煙されて、あたらめてフランスやヨーロッパからジビエとして輸入されて食べられるようになった、ってのが食文化としての歴史


なのに、


「〜♪」



楽しそうだね、一色

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