8éme livre Mort de 3éme année

Trois-cent-soixante-et-un ページ27

「仲間…よかったですわ、えりなさん」

「…」

『先生？』

「なんでもねえ」


先生も気になったけど
丁度反逆者側では
アリスちゃんが田所さんに説明している



「あの品、soufflé léger de grâceと言っていたわね
soufflé légerは軽いスフレ、
そしてgrâceはフランス語で…

恵という意味よ」

「…!」


そう


『あの品の名を和訳して混ぜると
恵の軽いスフレ』

「神の舌に名前を使われるなんて、嬉しいじゃありませんの
恵さん」



前の氷の女王の異名からは外れているけど
今のえりなちゃんの方が、ずっといい顏で料理出来てると思う



「茜ケ久保さん…
貴方も今までその類稀なるセンスで100点満点の皿を出し続け
生きてきたのね、

だからこそ認める訳にいかなかった…

自分が君臨する世界の埒外にある
自分の知らない輝きを秘めた品を!

満点を捨ててでも120点を狙おうとした田所さんの品に
貴方は苛立ったのだわ!」



毅然とした態度で言い放つえりなちゃんに対し
睨むもも



『…複雑だなぁ』



同級しか知らない頑張りもある
僕は隠してたからアレだけど、
潤さんとアキラの知らない所で三年の皆には助けられた


すると、


「テメエのそれは優しさじゃねえ、自分逃げの為に他人使ってんじゃねえよ」

『…ﾊｧ』



後ろから先生に頭をはたかれる
…言い返せないって事は
どこかで納得してるんだろうな


「Aさん…？」


心配そうなリオに笑って答えた


『100点満点って言葉嫌いなんだ、僕』


100点満点、
完了、終わり
それで満足しちゃったら

…つまり

その先のもしも、の可能性をつぶしてしまう



『だから、今回ももの壁をぶち壊してくれたえりなちゃんに感謝、すべきかな』

「…心情入れるとすぐヘタレに早変わりするけどな」

『…うるさいです』


相変わらず弱いな、僕


言われたももは不機嫌を表に出して
反論する


「なんなのー…!!
自分の事棚に上げて好き勝手いってくれるね
えりにゃんだって氷の女王とか言われてる癖に!!」


「えぇ、確かに

けれど、今の私はもう
上座にふんぞり返っているだけの女王ではありません」

「っ！」



多分、今のももは絶対この品を認めたくないんだろう


けど



『この先、きっともっとカワイイ品
作れるようになるよ、もも』


今は悔しいけど、先にもっと可能性がある




「御粗末さま」

“「反逆者連合!!
薙切えりなの勝利ｰｰｰｰ!!!」”


『負けちゃったかー…』


残念だけど
あとでタルトの御礼渡しとこ
横じゃリオが笑っていて

「えりなさん、幸平君の真似とは…随分…ふふ」

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