8éme livre Mort de 3éme année

Trois-cent-cinquante-sept ページ23

“「生クリーム、きび砂糖、バニラエッセンス、そして醤油を合わせて泡立てたものを
来るッと巻いて冷やしたんだよ

黒糖の味をもっともっと可愛く美味しくするためにね」”



塩キャラメルにクリスタルソルト
いわゆるあまじょっぱいって言われる食べ物は
その一つだけで「対比効果」完成できる


「洋食のコース料理だと
必ずスイーツの品目があるといっていいし、
海外レストランなんかじゃ、ドルチェあるよ、なんて言われることも多い」

「あぁ、うちも勧めますわね」

『それって洋食のメイン品目にあまり甘味がないからなんだよね』

「甘味？」



人間の五味は甘味、塩味、酸味、苦味、うまみ
洋食といわれる分野のメインメニューだと
酸味、うまみ、塩味が多い


『だからこそ、最後に一番足りていない甘味をドルチェの品目で追加するんだ
和食は別で照り焼きとかが出てくるから、また大変だろうけどね』



とにかく、
ももは甘味だけにとらわれず、醤油の塩味を追加することで味に奥ゆきと立体感を演出した、という事



“「一口毎にフルーツをはさむとまた違った風味がはじけて楽しいよ

勿論この飴細工も食べられるから
細かく砕いて舌にのせてからケーキを味わうとまた格別なの」”



その演出はケーキだけの2種類にとどまらない



「…やはり三年生、
しかも十傑となれば、知識のレベルが段違いですわね」


『まぁ…もともと三年生になるまでが大変だから、ここ』

「自慢乙！」

『うるさいです』「だまりなさい」



ももは入学当時から凄かったからなぁ、



“「ももが可愛いって思ったのが一番かわいいんだよ？」”

『入学当時凄い人形抱えてるな、と思って声かけたんだよね』

「あれたしか爆発的人気になりましたわよね、ウチのお客様も持っている方いらっしゃいましたわ」

『で、SNSはいまや大人気』



そんな彼女の夢の皿
味も見た目もインパクトは絶大


“「彼女の統治する王国へ立ち入る者全員に放たれる
ラブリー＆プリティーな砲撃…！」”



『っし…体調戻ったし、客席見に行こうかな』

「ちょうど紅茶も切れましたわね」


画面よりやっぱり香りで判断したいし、
その方が面白そうだ

竜胆達には怒られるかもしれないけど


「…ちょいと行くか」

『えりなちゃんですか？』

「ああ」




流石料理界きっての神の舌
色んな人から注目されて大変そうだね


控室を後にしようとテレビを切る前



“「はたして…この牙城に対し、

薙切えりなはどう立ち向かうのでしょうーーー！！」”




そんな声が聞こえてきた

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