8éme livre Mort de 3éme année

Trois-cent-quarante-six ページ12

[Continue Hayama Side]


「かわいくないよ、A」

『…』


ｰｻｸ､ｻｸ


茜ケ久保ももがAの口に放り込んだのはさっきのリンゴタルト
アイツは無言で食ってるが…


その時、ふと誰かが口にする




「あれ？茜ケ久保センパイって確か…」

「黒翔先輩に対しては、あの呼び方をしていない」


という事はアイツはAの事下だと思ってない、という事か？
一体なぜ…




すると、



『…ふぅ』

「あ、可愛くなった」

『可愛くなったって……ｺﾞﾎｯ』

「だって会場あったかくなったもん、ねーブッチー」




確かに先ほどの異様な会場の雰囲気がﾌｯと消えている



ーーーーーーーーーーーー
Side you


コイツとの食戟がセーブできてない初日じゃなくてよかった

色々秋津に言われて多分…80％、くらいまでで抑えきったのは
まぁ良かったと思いたい


けど…




ｰｻﾞﾜ､ｻﾞﾜ



『-ﾁﾗ』

「ひっ…！」



自分の口に放りこまれたリンゴタルトを片手に、会場の中を見渡してみると、
目線が会うたびに会場の生徒が小さく悲鳴を上げる



『…バケモノ、か』



自分自身の体なのに、重石を乗せられたように
身体が動かしづらいような気がするな

…多分周りに恐怖の眼で見られていることに落ち込んでるんだろう

なんて、自分自身の事なのに客観的に見れてるのはいいことかな？
暴走しないし





でも…



『ダマスクローズ、香りがいいね…ｺﾞﾎｯ』

「ももが作ったスイーツだから当然だし」

『ふふ、そっか…ｯｺﾞﾎ!』



もう怖がってもしょうがない
一度自分の腕として出来ちゃった死神なんだからしょうがない

僕は受け入れる覚悟はできている
昨日はひとりで悪夢見ちゃって、人の眼がまた怖くなって、色々疑ったけど



『さっさと終わらせるから、もう一つ残しといてよ…ｺﾞﾎｯ』

「風邪ひいてる人にもものスイーツはもったいないよねーブッチー」

『わーひど…ｺﾞﾎｯ』


これで…黒翔Aとして進まなきゃ
また今までの無限ループだ

それに、

事実じゃない悪夢なんかで、事実の友達や家族の言葉を信じないなんて



“「「おかえり」」”

“「俺や潤はお前の味方だ…A」”




ホントにだめだね、僕は




ーーー



調理台を降りて行ったももを見送って
自分の皿を持つ

ついでに




『ねえ秋津…ｺﾞﾎｯ』

「…ひっ！」



秋津に声をかける
…80％出しちゃったからそりゃビビるか



『僕は確かにバケモノだよ』

「…は、」



『けど、それでもいいって言ってくれる人もいるんだ』



バケモノでも…死神でもいいってね

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