13éme livre Mort de cuisinier

Cinq-cent-quatre-vingt-dix-sept ページ18

『母さん...』

「だっはっはっは！」



今思うと
かなりの破天荒な人だ、とは思っていたけれど
まさか、遠月繋がりでそんな縁があったとは...



カウンターに肘をついて両手を組む僕と
目の前で豪快に笑う城一郎さん
すごいシュールな光景が出来上がる




すると



目の前の城一郎さんにバンバン肩を叩かれて





『...はぁ』

「いやー、怖えよな女って！」

『いや別に...』

「俺も珠子や喜多見には
散々引っ掻き回されたからよー！」




それ絶対城一郎さん自身の行動のせいじゃ
とは思ったけど、言わないでおこうか

それよりも、ちょっと聞いてみたい






『珠子さんって、どんな方だったんですか？』

「おー！！」






遠月の才波シェフの事は
聞いていたけれど、その後の事を知る人間は
きっとあまりいないんだろう





しかし






「これがまた変な女でよぉ！」

『へぇ、？』







どこか、幸平に似た笑顔で
嬉しそうに話すその顔を見ていると

こっちまでどこか暖かい気分になる








「よし！、せっかくだから料理勝負でもすっか？
ついでに話してやる」

『.....良いでしょう
僕にゲテモノは通じませんよ』

「出すかよ！」





この日はアサヒさんの件でいくつか話したくて
伺ったんだけれど

母さんの話からどんどん脱線してしまって
料理勝負までしてしまったが





とても、暖かくて
楽しかった





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「才波シェフと料理対決までしたの？」

『なんか雰囲気に乗っかっちゃって...』





幸平のお母さんの話をしつつ

ゆきひらに伺った時の事を全部話したら
司もどこか納得したみたいで






「幸平のあれはもう、元々の物なんだろうな」

『そうだねぇ、だって
お母さんとお父さんがもう正反対すぎるんだもん』

「だからこそ、普通なら思いもよらない方法で
美味にたどり着けるんだろうね」

『あぁ』







今まで、幸平は僕らの常識を
軽々と越え続けてくれた





「研鑽、か」

『ふふ、さすが後輩君達』





次は何を見せてくれるのかな






その時






〜♪






『これでようやく全員揃った』

「あぁ...そういえば前総帥が言ってたっけ」

『そうそう、なかなか見つけるの大変だったんだよ
途中から城一郎さんにお任せしたんだけどさ』







スマホの連絡は確認しなくても
もうわかる







『制限時間までもう少し
お前の思う、五大料理を一つにまとめた皿
.....どんな香りなのかな』




今の幸平を見てると

緊張はしているのに
どこか、あの日と同じ暖かさの中に
高揚感を感じた

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