その2 ページ48
『…っはぁ…は…ぁ…』
息も絶え絶えなランカに近づき見下ろすカイト
ランカは見上げながら笑う
『…俺を…見下ろすとは…生意気…だな…』
「…貴女が読めと言った本。とても役に立ちましたよ」
それは、子供が読むようなファンタジー本
〜異世界人の歴史〜
「あの本は、貴女の様なあるはずのない能力者達の末路を描いた本でした…能力こそ様々とありましたが…唯一共通している点が一つだけ…皆、体内に毒素を溜め込まれ死に至っていたんです」
淡々と語り出すカイト
周りの部下は先に指示していたのか
何も言わず周りの海賊達を蹴散らしていた
騒がしい戦場なのに、
その二人の間だけは嫌に静かだ
「一定時間経つと血を吐き、体力を徐々に失い、最後は死に至る…ねぇ、ランカ元中将…貴女、知っていたんじゃないですか？その毒素が何から発せられるのか」
『…お前は…答えは、見つけたのか？』
質問に答えず、質問を返すランカ
カイトは目を細める
「…えぇ、答えは…拘束用に使われた海楼石…貴女達の様な異世界人の能力者も、弱点は海楼石だったんですよ」
そこで、一瞬だけ目を見開くランカ
カイトは自嘲気味に笑う
「…ランカさん…貴女は…この世界の人間じゃ無いんですよね」
『ッハハハハ！！！っゴホッ！ゴホッ！』
可笑しそうに笑った後、咳き込むランカ
『…よく突拍子も無いことを思いついたな？』
「…突拍子もない？…本気でそう思っているんですか？」
『根拠はねぇだろ？たかだか今まで無かった能力者なだけでは』
「…分かりますよ…だって」
そこで、カイトはゆっくりと戦場を見回してから
もう一度ランカを見下ろす
「…だって、僕も、貴女と似た存在なのだから」
『ー…』
息を呑むが、驚きはしないランカに
カイトはつまらないと言いたげな顔をする
「…やっぱり驚かない…何時だってそうだ、あんたは余裕綽々で、僕がどうしても叶えたい事をあっさりとやってのけるのに…本当にやりたい事は何もしてくれない…ねぇ、ランカ元中将。知ってましたか？」
カイトはランカの前にしゃがみこむ
その顔は、泣いているようにも
笑っているようにも見えた
「…僕、本当は貴女の事、大嫌いなんですよ」
その告白は
戦場には響かず
静かに消えていったー
99.『だからお前はバカ犬なんだ』→←98.「貴女の事、大嫌いですよ」
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カナタ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます！実は最初の頃からここらへんは考えてたシナリオなので漸く出せた…と言った所です！これからもどうぞ宜しくお願いします！ (2019年3月3日 22時) (
レス) id: fbcd1047f0 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - あぁここに来ての新事実！カイトォォォ！切ないィィィ！って思いながら毎日読んでやす。 (2019年3月2日 23時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます！いつもありがとうございます( ..)こちらこそこれかもどうぞ宜しくお願いします！ (2019年3月1日 22時) (レス) id: fbcd1047f0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - 梨花さん» コメントありがとうございます！作者弱ペダはあまり知らないため、小ネタ程度になりますが……それでも宜しかったら暫しお待ちくださいませ！ (2019年3月1日 22時) (レス) id: fbcd1047f0 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - いつも楽しく読ませてもらってます！これからも頑張って下さい。応援しています！ (2019年3月1日 21時) (レス) id: b72d70af69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カナタ
| 作成日時：2018年9月1日 23時
