その3 ページ7
松田の前に立つランカに
松田はポロリ…と煙草を落とした
松「…え…ランカ?」
『随分なマヌケ顔だな、整った顔が台無しだぞ?』
ふざけるように笑いながら
中に入り、爆弾を見下ろすランカ
『…ふむ、成程。これが君が爆弾を完全に解体しない理由か』
ヒントを読んだのか、松田を見つめるランカ
松田は諦めた様に煙草を拾って捨てる
松「…あぁ、そうだよ。分かってんならもう何も言うな…ここに来たってことは、あんたなら降りられるんだろ?早く行け」
『………』
下を向いて外を指す松田に
ランカは呆れたように溜息を零す
『随分と阿呆だな、お前』
松「…はっ…?」
『いや、高慢だと言えばいいのか?』
松「…なんだよ、俺の命一つで多くの人間が救われる事が高慢だって?」
苦笑いする松田に、首を振るランカ
松田の隣に座ると真っ直ぐ松田を見つめる
ナイルブルーの瞳は、やはりどんな宝石よりも美しい
松田は本能でそう感じた
『お前の命は、そう簡単に諦められるほど高尚な宗教にでも入っているのか?』
松「…え?」
『だいたい、お前も研二もそうだ。諦めるのが早すぎるんだよ。お前の目の前には何が見える?』
松「…爆弾」
『そうだ、他には?』
そこまで聞かれ、松田は無意識に答える
松「…ランカ、ランカがいる…」
『そうだ、俺がいる。俺がお前の前に現れた時点で、お前は死ぬ事を諦めろ』
自信たっぷりで笑うランカ
松田は目を細めて視線を逸らす
松「…駄目なんだよ、ランカ。これは爆発3秒前にヒントがでる…誰かがそれを見なくちゃいけない」
『………』
外を見たりして、少し考えるランカ
松田は言葉を続ける
松「…だから、ランカはここから離れてくれ…萩原を置いてっちまうから…頼んだぜ」
やはり、諦める事から抜け出さない松田に
ランカは目を細めると溜息を吐き出した
『…俺は、お前とクリスマスを過ごしたい』
松「!…」
『正月も、初詣に3人で行くのだろう?俺が料理をすると言ったら、お節を作ってくれと言ったのはお前だろう。あと、バレンタインか?甘い物が好きとは意外だったが…今年は生チョコパウンドを作ろうと思っていたのだが…』
予定を語り出すランカに
松田は少しだけ顔を上げる
そこには、やはり自信に満ち溢れた彼女が座っており
松田に問いかける
『…お前は、この先の全ての未来を諦めてしまっていいのだな?』
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翡翠(プロフ) - 楽しみにしてます。更新再開嬉しいです。頑張ってください (2020年5月23日 8時) (レス) id: 3260124100 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 最近,どの作品も更新されてなくて心配しました。テニプリの作品も更新頑張ってください^ - ^ (2020年5月23日 1時) (レス) id: 9f5e24e49c (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - ニコさん» 夜も眠れない状態までお待たせしてすみません!また週一ですが更新安定はするかと…!これからも寝る合間に読む程度にお楽しみ下さい…! (2020年3月27日 23時) (レス) id: fbcd1047f0 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - 続きが気になって夜も寝られません (2020年3月23日 13時) (レス) id: 40dba85962 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - 面白かったです。更新がんばってください (2020年3月17日 20時) (レス) id: 40dba85962 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カナタ | 作成日時:2019年6月10日 23時