【テニプリ】モブ少女の無敗記録【逆ハー】part2 (ページ18)

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21.他人の物なんて欲しがるもんじゃないページ18

『昔、立海には期待のエースと呼ばれる程実力のあるバスケ部の1年生がいた。彼自身もその期待に答えるべく毎日毎日放課後の自主練習も欠かさすこなしていた』

その努力に、共感を得たのか
赤也はうんうんと頷く

『その努力が実り、彼はある試合に1年生にしては初のレギュラーとして出場が決まった。嬉しかっただろうね…』

そこで、目を伏せる雫
声のトーンが少しだけ落ちる

『でも、現実は時に残酷だ。試合前のウォーミングアップで、早朝から外で軽く走っていた彼は…事故に巻き込まれてそのまま帰らぬ人となってしまった』

息を呑む真田
雫は言葉を続けていく

『未練が残ってしまった彼は、引き寄せられるままこの世界に入り込んでしまった…理不尽な自身の死を受け入れられないまま…そんな上、ある日いきなり同世代の少年が現れた』

ーあんたの顔、貸してくれよー

『自分が死んだ事も受け入れられていないのに、首を切られ、自分の顔を奪われ、それでも平然と生きている自分を認識してしまいー君は壊れてしまった』

そして、真っ直ぐバスケ少年を指さす

『…その少年は、君なんだろう？』

バ「………」

ゆっくり頷くバスケ少年に
雫は真田の背後の首有り少年を見つめる

『君は、彼の元々あった首を隠してしまったんだろう？…いつか返しに来た時、困ればいいと…しかし、離れようとすると自分がその場から動けない事にも気がついた…首が無くなって、君は怪奇と認識されてしまったからだろう』

バ「……」

『怒った君は、彼の顔を常に持ち続ける事にした…自分の怒りが少しでも伝わるように、ボールの中に首を入れて、ドリブルし続けたんだ』

幸「っー！」

バ「……」

バスケ少年は、ボールをまるで布のように引き裂くと

ボトリ、首が落ちる

あれだけ叩きつけられていたのに、顔はボコボコにはなっていなかった

『しかし、首を付けかえた彼もまた、怪奇として認識されてしまいお互いがお互いを近づけられない結果となってしまった。人体模型の心臓を持っているとなぜか痛みが和らぐと言っていたのは分からなかったけど…それでも、君のエリア内に入れば無意味になる。だから首有り君も君に近づけなくなった…確かに、彼の行いは褒められたものじゃないが、結果として君も自分の首を返せない状況に創りこんしまったんだよ』

言い聞かせるように言葉をつなぐ雫

バスケ少年は、俯くように腰を曲げる

雫はどこからともなく大きな白い布を取り出した