【テニプリ】モブ少女の無敗記録【逆ハー】part2 (ページ1)

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14.偽物には本物をページ1

音楽室の前に辿り着く雫達

見るからに毒々しいオーラに
思わず後退りそうになる赤也達

雫は扉に手を掛けて、勢い良く開いた

扉は容易く開き、部屋の中央にピアノが置かれていた

そのピアノに座るのは、教科書にもよく載っているベートーヴェンそのものだった

『…幸村君を返してくれるかな？』

雫の声に、ベートーヴェンの幽霊は揺らりと此方を見やる

「"…我が神聖な場所に土足で入ってきた子供を許す訳にはいかない…が、私は寛大なのだ…ピアノを見事弾き、私を満足させたなら返してやろう"」

生「なっ…それはあんまりです！」

柳「いくら幽霊とは言え、ベートーヴェンにピアノで勝負を挑むのはあまりにも無謀では…」

言い淀むメンバー

雫は、1歩前に進む

『良いよ、勝負しようか』

赤「雫先輩！？」

ブ「おいっ！辞めとけよぃ！」

『勝たないと、幸村君を助けられないよ…このまま絵にされたくは無いだろうし』

そう言って、指をさした方には

絵の中に閉じ込められた幸村の姿が描かれていた

真「幸村！」

仁「倒れとる…まずいのぅ」

ジ「こっちからの声は聞こえてねぇのか！？」

ベートーヴェンの幽霊は、雫を見やると
ピアノの椅子を引いて座る

「"…さて、まずは私が弾いてやろう。それで戦意喪失させたなら、お前もあの子供のように絵の中に閉じ込めてやろう''」

そして、ゆっくり手を前に出し
強く弾き始める

交響曲第5番ハ短調「運命」

教室中を揺らす程の音色に
思わず歯を食いしばって耐える赤也達

雫はピアノを弾くベートーヴェンの幽霊を真っ直ぐ見つめていた

弾き終わり、満足そうに雫を見る幽霊

「"どうだ？…失意の念に駆られたか？"」

『…いいや』

ピアノの椅子に座ると

鍵盤を見つめる雫

『…君の演奏は素晴らしいよ。淀みのない美しい演奏だった…しかし、所詮偽物には人の心までは動かせない』

「"ー…なんだと？"」

『肖像画が具現化しただけの君では、心を鷲掴む程の演奏は不可能だと言っているんだよ、偽物くん』

「"ー！"」

ゆらり…雫の両手が前に出たと同時に

部屋の空気がガラリと変わったのを皆肌で感じる

ニヤリ、雫が口の端を歪め

鍵盤を強く叩いたー