その3 ページ10
丸「…何もしねぇよりは…」
そして扉を開いたー
『…ノックくらいしてよ…』
ポカン…と飴を片手に固まる雫は
はぁぁ…と溜息を零して立ち上がる
『さて…ようこそ、怪奇現象研究部へ。君はどんな怪奇に悩まされているのかな?』
丸「…俺じゃなくて、俺の弟が…いなくなったんだよぃ」
『…"チヨちゃん"の仕業だね…』
丸「っ知ってんのか?」
『そりゃ、最近よく聞く噂話だし…』
ブン太の方へ歩み寄ると、扉に手をかける
『さて、弟さんを見つけに行こうか…えーっと…』
丸「俺の事知らねぇのかよぃ!?…って…見つけるって…」
『アレ、何かその台詞デジャブが…ま、いいか。弟さんは恐らく"チヨちゃん"に囚われていると思うからね』
丸「…俺は丸井 ブン太…なぁ、助けてくれんのか…?」
その目は縋るような瞳で
雫はふっと笑うと頷く
『勿論、頼まれたからには必ず弟さんを助けると約束するよ』
その力強い声に、ブン太は少しだけ目元を潤ませるのだったー
二人は、噂のお寺の前に立っていた
夕方のせいもあってか、雰囲気はどこか薄暗く見えた
丸「うぅ…」
唸るブン太に雫は振り返る
『さて、丸井君はここで待ってて』
丸「は?なんでだよぃ!」
『ここから先は、怪奇に全く耐性のない人が入れば簡単に取り込まれる"あちらの世界"だからだよ…弟さんはそこに踏み込んでしまったから捕えられちゃったんだね』
ブン太の為を思っての提案だったが
ブン太はグッと拳を握り込むと言葉を零す
丸「!!…俺、アイツが居なくなって何にもしてやれなかった…だから、せめて!迎えに行ってやりてぇんだ!」
ブン太の真剣な目に
雫はふぅと息を零す
『…分かったよ、何があっても知らないよ』
そう言って、手を差し出した
丸「…?」
『ここから先は手を繋ごう。それならここの影響を受けずに中に入れるよ。私が必ず君を守るから』
そう言って、真っ直ぐ見つめるのだから
ブン太は思わず顔を赤くしてしまうのだった
そっと、握りしめた手は柔らかく小さくて
自分が安心してしまうことに情けないと感じていた
そんな事を知らない雫は前を向く
『さて、じゃあ行くよ!何があっても離さないでね。離したら体バラバラになるって思っといて』
丸「はっ!?」
ブン太が聞き返す前に
雫は寺の中へと踏み込んだのだったー
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カナタ(プロフ) - とと丸さん» コメントありがとうございます!そうでしたか…私は知らなかったのですが、何件かコメントを頂いているので、お話は削除して訂正させて頂きます。大変申し訳ございませんでした。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2019年10月13日 21時) (レス) id: fbcd1047f0 (このIDを非表示/違反報告)
とと丸 - あの、失礼だとは思うんですけど8話目のモンブランの話とよく似た話を読んだことがあります。これは偶然ですか?? (2019年2月23日 16時) (レス) id: 89ceb7c4c7 (このIDを非表示/違反報告)
アルシェ - 続き楽しみに待ってますね♪このお話とても面白いです! (2019年1月25日 1時) (レス) id: f819ec86cc (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - やゆよさん» コメントありがとうございます!亀更新ながら続いていくのでどうぞよろしくお願い致します! (2019年1月20日 22時) (レス) id: fbcd1047f0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - マッキーさん» コメントありがとうございます!お気に入りまで!これからも亀更新ですがどうぞよろしくお願い致します! (2019年1月20日 22時) (レス) id: fbcd1047f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カナタ | 作成日時:2017年7月8日 2時