【テニプリ】モブ少女の無敗記録【逆ハー】part1

11.美しい音色に囚われる ページ44

幸村達が向かった先は音楽室

鳴り止まぬピアノの旋律は美しく
幸村はほぅ…と溜息をこぼす


幸「そうとう上手な人が弾いてるね、そんな人この学校にいたのかな…？」

柳「先生と言う事もありえるぞ」

仁「………」

生「仁王君？どうされました？」

一番後ろで着いてきていた仁王は
顔を真っ青にさせながら足をふらつかせる


仁「…分からん…じゃが…俺はそっちには行きたくないんじゃ」

生「？…」

柳生が足を止める仁王に振り返る

それと同時に、幸村がゆっくり扉に手をかけた


少しだけ扉を開けた先には
ピアノに座って演奏する男の姿が

その姿は、まさしくベートーヴェン

透けて見えたその姿から
それがこの世のものでは無いと直感した




幸「ーーーっ！」

ヒュッと息を呑む幸村
同時に、背を向けていた幽霊が手を止め
こちらを振り向く


その顔は、あの自画像そっくりで
しかし、目は赤く血走り顔は青白い

その幽霊と目が合った瞬間
幸村は無意識の内に叫んでいた



幸「ーっ逃げろ！！」


その声に振り向く3人
同時に、扉にかけていた手が何かに強く捕まれ部屋に引き入れられる

柳「ーっ幸村！！？」

幸「っ…真田達と逃げろ！」

柳が手を伸ばす前に
扉は激しい音を立てて閉じてしまう

3人はなんとか扉を開けようとしてみるが

先程とは打って変わって扉は開かず

幸村が攫われてしまった事実だけが
4人に重くのしかかるのだった



柳「…とりあえず、真田達と合流しよう」

生「っ、柳君！？」

仁「…ほうじゃの…ここで手まねこいても何も変わらん。人が多ければ幸村を助ける方法も思いつくかもしれん」

生「っなんで…もしかしたら、幸村君は…」

柳生は、不安そうに声を揺らす
柳はそれを見つめながらふっと息を零す


柳「…俺達は、王者立海だ。その部長である幸村はこんな事で倒れる男じゃない」

生「ーっ！！？」

仁「ほうじゃ、さっさと合流して。幸村を助けるぜよ」

生「…そうですね、すみません。取り乱して…」

柳「いや、当たり前だ。それじゃ急ごう」

そう言って、軽く走り出す2人

仁王は、雫から貰ったヘアゴムを
そっと指でなぞってから
しっかりと前を向いて走り出すのだった

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