その2 ページ33
柳「友人曰く、"コレは呪われた本だから読むな、お前ならコレをどうにかしてくれる"…そう言って俺に押し付けてきたんだ。呪いなど信じてはいないが、君のような専門家の意見を聞くのもいいと思ってね」
『………』
ジッ…と柳を見つめた後、本に目を落とす雫
『…分かった、依頼として承ります。この本はお預かりしても?』
柳「!…やはり、何かあるのか?」
『さぁ、今は何とも。明日同じ時間に来て頂ける?その時結果はお話します』
柳「あぁ、助かる。頼む」
『いえいえ、じゃあまた明日』
立ち上がる柳を見送るように立ち上がる雫
そして、部室の扉を潜り抜け帰っていく柳を見送った後
机の上に置き去りにされた本を見つめながら
小さく溜息を零したのだった
次の日の放課後まで、柳は内心待ち遠しく感じていた
これで、彼女の本性が明らかになると
その思考さえも彼女の手の内かも知れないなど
彼は考えもしなかったのだった
放課後、本来は部活があるのだが
柳は幸村に理由を軽く説明してあの部室に来ていた
昨日と同じくノックをし、昨日と同じく返事を返され中に入ると
机の上には、あの洋書がそのままジップロックに入れられて置かれていた
その事に少し目を見開きそうになるが
なんとか平静を装い席に座る柳を雫は真っ直ぐ見つめる
柳「…では、聞こうか…この本は呪われていたか?」
その問いに、雫はふぅ…と溜息を零す
『…いいえ、この本はただの洋書。古びているのは恐らく古本屋から買ったから…そもそも、この本に呪いなんて無いのは貴方が1番知っているんじゃ無いのかい?…柳君』
柳「…何の話かな」
声のトーンを変えずに、柳は問いかける
雫は少しだけ目を細めると
封がされたままの本を見つめる
『君の依頼は、そもそもおかしな話なんだよ。呪いの洋書なんて面白い話をその友人が学校でしない訳がない。仮にしないとしてもデータを常にとる事で知られている君の性格上、呪いなんて証明できないもの信じるはずが無い。君だけにこの本を預けるという思考にはまずならないよ』
柳「………」
『そして、何よりこの本に触れた人間がこの本に呪いなんて無いと思ってるのが丸わかりなんだよ』
柳「…それは、何故?」
柳の問いかけに、雫は漸く柳を見つめた
その目は、何処までも冷たく、冷静だった
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カナタ(プロフ) - とと丸さん» コメントありがとうございます!そうでしたか…私は知らなかったのですが、何件かコメントを頂いているので、お話は削除して訂正させて頂きます。大変申し訳ございませんでした。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2019年10月13日 21時) (レス) id: fbcd1047f0 (このIDを非表示/違反報告)
とと丸 - あの、失礼だとは思うんですけど8話目のモンブランの話とよく似た話を読んだことがあります。これは偶然ですか?? (2019年2月23日 16時) (レス) id: 89ceb7c4c7 (このIDを非表示/違反報告)
アルシェ - 続き楽しみに待ってますね♪このお話とても面白いです! (2019年1月25日 1時) (レス) id: f819ec86cc (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - やゆよさん» コメントありがとうございます!亀更新ながら続いていくのでどうぞよろしくお願い致します! (2019年1月20日 22時) (レス) id: fbcd1047f0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - マッキーさん» コメントありがとうございます!お気に入りまで!これからも亀更新ですがどうぞよろしくお願い致します! (2019年1月20日 22時) (レス) id: fbcd1047f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カナタ | 作成日時:2017年7月8日 2時