その6 ページ19
その瞬間、空いている左手を前に翳して仁王を守るように立ち塞がる雫
「"何よ!?邪魔しないで!!"」
『相手を見つめ続けるだけなら、生霊だけれど…相手を襲うなら、それは悪霊。本体とは別の存在に成り下がる』
そして、目の前で指を鳴らした瞬間
まるで、煙のように悪霊になった彼女は消えてしまった
こうして、実に簡単に事件は終わってしまったのだった
『ー心霊なんて、こんなものだよ。テレビで見るような佳境があったりなんてしない』
仁「そんなもんなんか…」
あの事件から数日後
仁王は1人で雫の元へ現れていた
あの生霊は、仁王の熱心なファンの1人で
生霊は行き場のない想いが無自覚に霊になってしまった成れの果ての様だった
仁「本当に助かった、感謝するなり」
『助けると約束したからね、私は約束は守る女なんだよ』
今日は紅茶なのか、ダージリンの香りが優しく香る空間に仁王は漸く力を抜いたように息を吐いた
『でも、今回の件は少なからず君にも原因があるよ。仁王君』
仁「は…?」
紫紺の瞳は、真っ直ぐ仁王を見据えていた
『君は、自分に熱心なファンが居るのを知りながらただそれから逃げていた』
仁「…ファンになるんは、相手の勝手じゃろ。俺のせいじゃなか」
『勿論、でも彼女達の想いが増長したのは君が放置しすぎたからだ。霊の前で言ったことを少しでも彼女達に伝えようとしたかい?』
その問いかけに、仁王は口を閉じた
『自分の見た目に惹かれる人達を信用出来ないのは分かる。けれど何も言わなければ何も解決なんてしないんだよ』
仁「…」
俯く仁王に、雫は綺麗な黒色の髪ゴムを手渡した
『霊の方は私がサポートする。だから人の方は自分で何とかしてみようよ、それだけでも今までとは全然違うはずだよ』
仁「…」
髪ゴムを受け取る仁王
その手は少しだけ震えていた
仁「…俺にも、出来るかのぅ…」
『…出来るさ、あんなに魅了するテニスが出来る君が、見た目だけが惹かれる理由な筈ない…きっと、純粋に君を応援してくれる人がいっぱい居るよ』
そう言って、笑う雫に
仁王は髪ゴムを強く握りしめ頷くのだった
その後
仁王はファンの少女達に呼び掛けることによって
仁王ファンの少女達は節度を守った応援をする様になったのは
少しだけ先の話になるのだった
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カナタ(プロフ) - とと丸さん» コメントありがとうございます!そうでしたか…私は知らなかったのですが、何件かコメントを頂いているので、お話は削除して訂正させて頂きます。大変申し訳ございませんでした。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2019年10月13日 21時) (レス) id: fbcd1047f0 (このIDを非表示/違反報告)
とと丸 - あの、失礼だとは思うんですけど8話目のモンブランの話とよく似た話を読んだことがあります。これは偶然ですか?? (2019年2月23日 16時) (レス) id: 89ceb7c4c7 (このIDを非表示/違反報告)
アルシェ - 続き楽しみに待ってますね♪このお話とても面白いです! (2019年1月25日 1時) (レス) id: f819ec86cc (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - やゆよさん» コメントありがとうございます!亀更新ながら続いていくのでどうぞよろしくお願い致します! (2019年1月20日 22時) (レス) id: fbcd1047f0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - マッキーさん» コメントありがとうございます!お気に入りまで!これからも亀更新ですがどうぞよろしくお願い致します! (2019年1月20日 22時) (レス) id: fbcd1047f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カナタ | 作成日時:2017年7月8日 2時