【テニプリ】モブ少女の無敗記録【逆ハー】part1

その4 ページ11

丸「…？…」

目を閉じていたブン太は
ゆっくり目を開くと

そこは夕方の森の中のままだった

しかし、どこか不気味な雰囲気に

ブン太は握られた手に力を入れる

ガリ…と飴を噛み砕くと

雫は真っ直ぐ前を向く



もーいーかーい

もーいーよー


ふふふふふ

ふふふふふ

あのこはどーこだ

見つけられなかったら

次はあなたの番

ふふふふふ

ふふふふふ


可愛らしい声が森をこだまする

その不気味さにブン太はただ息を呑んだ


「''うふふ…見つけてみてよ…じゃないとあの子は返さない''」

可愛らしい筈なのに

どこか恐ろしいその声に

ブン太はただ黙って周りを見渡した


『分かった、返してもらうね』


ブン太の手を握りしめたまま

雫はあっけらかんと答えた

丸「っはぁ！？」

「''…………''」

『行くよ、丸井君』

軽快な足取りで

雫は迷うこと無く真っ直ぐと進んでゆく

そして、たどり着いた先には

禍々しいオーラを放つ神社があった

丸「や、やべぇよい！なんかわかんねぇけど、近づかない方が…」

そういった瞬間、扉に手をかける雫

『お邪魔します』

パァンっ！！！



弾けるように開いた扉の先には

ブン太の弟が眠っていた

丸「いやいやいやいや！なんで開けられるんだよぃ！？」

『アレくらいなら余裕だよ〜』


雫はその側まで近づくと

ゆっくりと弟に触れる


『…弟くん、みーつけた』



その時ー

パァァ…と光が弟から放たれると

ゆっくりと目を開ける

「…ん…？アレ…？」

丸「っ！！」

ブン太は手を繋がれたまま、弟を勢いよく抱きしめた

「…兄ちゃん…！？」

ブ「遅くなって…ごめんなぁ…！！」

「！！…兄ちゃん…僕…！！」

『感動のところ悪いんだけれど、丸井君は弟くんの手をしっかり握ってて』

言われた通りにする2人に
雫はふっと微笑むと前を向く


「''…なんで…なんで…！！''」

丸「っ俺達の勝ちだよぃ！さっさと解放してくれよ！」

「…っ」

ギュッ…と兄の手を握る弟が痛々しくて
ブン太は思わず叫んでしまう
それに首を振ったのは雫だった

『ダメだよ、丸井君』

ガタン、と1歩前を歩く


『まだ、終わってない』


手を繋がれたままなので、連れられる様について行くしかない2人

ブン太は目を見開いて固まる

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