甘すぎる【赤】

りすとかっと ページ8

自傷表現あり

タイトルの意味がわからない方は
ブラウザバッグ推奨します

少し苦めのお話です
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右手にはカッター

力の入らない左手

無数の赤い線

痛みが残る手首

また、やってしまった

後からくる罪悪感はどうにかならないのか

毎回思うが考えるだけ無駄なのだろう


血の付いたカッターを意味もなく眺めた









…急に足音が聞こえてきて


ハッと我にかえる


足音は扉の向こうで止まり

ゆっくりとドアノブが動く




やばい、脳がフル起動して


カッターを持って両手を後ろに隠す


でも、少し遅かった。



「え…今なに隠したの…？」

私の必死さに

心配と疑いが混ざったような顔をして


こっちに向かってくる


ああ、どうしよう、、と考えるほど体は動かない


「はい、隠したのちょーだい」



何も言えず固まる私



数秒の沈黙が続いたあと



両腕を優しく掴まれ前へと動かされる

抵抗する力なんて無かった



血の付いたカッター

ボロボロの手首



交互に見た後、悲しそうな顔をして


「これ…自分で、やっちゃった…？」


認めるしかなくて小さく頷く



「…だめでしょっ、自分のこと傷つけちゃっ！」

おこられてるのに
すごく柔らかい言い方で

彼の優しさを感じる

大きな目には涙が溜まっている



泣きたいのはこっちもなんだけどな。


カッターは奪われて

彼が思いっきり抱きついてきた


「なん、っで、ひとり、で、抱え込むの！」

「おれを、、頼ってよ！！」

号泣している彼はとぎれとぎれに言う


ごめんね、と頭を撫でると

手にすりよってくる






数分ほどたつと泣き声は収まってきた



お互い口を開かず
無言で抱き合う時間が続く




先に口を開いたのは彼の方で

一方的に怒って泣いてごめん、と

弱々しく謝られた




「Aの話聞きたい、」

「しちゃった理由話せる…？」



…でも、今は言いたくなくて

というか上手く言える気がしなくて


首を横に降る




そっか…と引き下がってくれる彼はほんとに優しい


気持ちの整理がついてから話す、と
伝えると

少しだけ顔が明るくなって

「うん、まってる」

と頭を撫でてくれた



それから、
手当てさせてと言う彼に甘えて

消毒をしてもらい、

包帯も巻いてもらった


「俺はAの体に傷がつくの嫌だな」

「女の子なんだから痕残ると後々大変じゃないかな…」


そう溢す彼に、今はまだ
苦笑いすることしかできない。

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