サヨナラ初恋

35.流されなくて ページ35

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流されなくて良かった、とお互い口にはしないけれど思ったハズだ。


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流されてしまっていたらセンパイの事も自分の事も照の事も。全部嫌になっていたと思う。
だから、私達は何もしなかった。一瞬、迷ったかもしれないけれど

でも…その相手がセンパイで良かった。

センパイじゃなかったらこんなに正直に話してなかっただろうし気持ちを分かり合えなかったと思う。



「じゃあさーよりいっそ仲良くなったってゆー事で」
「なんですか？」
「敬語、やめね？」
「…敬語…ですか？」

「なんか距離感じる。こんなに仲良くなったんに」

ちょっと不貞腐れた表情のセンパイに笑みが綻ぶ。



「んーわかりました」
「早速、敬語使ってんじゃん」
「あ、ほんとだ」

分かりやすく手を口に当てておチャラければ二人でまた笑う。
アイとは違う親友を持った気分だ。
男女の友情なんて成立しない、と思っていたハズなのに。




ソファの上でちょこんと正座をする。

「えぇ？なに？急に」
「センパイありがとうございました。センパイで良かったです。」

心からの言葉だった。

センパイは一瞬、目を見開いたけれど直ぐに優しい笑顔になって、こちらこそなんて私の頭を撫でた。



「じゃあさ、Aちゃん」
「は、い…うん？」
「無理やりタメ口だな…」
「慣れないから…」

「照に、気持ち伝えてみたらどー？」

「え？」

気持ちを伝えるだなんて考えたことなかった。


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