サヨナラ初恋

32.同じ顔してたから ページ32

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ちょっと前の俺と同じ顔してたから。


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センパイは静かなこの部屋で自嘲するように笑いながら小さく、ハッキリと吐き出した。
その言葉に思わず息を飲んで。
照の言っていた…好きな人が居る、それと何か関係しているのかなと薄らと感じてしまった。

だけど、センパイの表情から察するに多分…その恋は上手くはいっていない。





「センパイも…同じ、なんですか？」

恐る恐る聞いてみた。

「あはは、同じ？どーだろ。俺はもう一生叶わないよ。」
「、え？」
「俺が好きだった人はもう居ない」
「……っ」

相槌も打てないほどのショックで背中に嫌な汗がじわりと浮かんだ。

そんな私を見てセンパイは酷く驚いた顔をする。

「あ！ごめん！めちゃくちゃ誤解してる！俺ちょー嫌な想像させたよね？ごめん！」
「…は？」

めちゃめちゃに焦ってるセンパイ。意味がわからず間抜けな返事しか出来なくて、



「居ないつぅのは語弊があった。ごめん。結婚してさーもう苗字も変わって俺が好きだった人は居ないって事。」

嫌な想像とは違ったけれど、でもそれはそれで胸が痛くなった。だって、センパイ泣きそうな顔してるから。しかもまだ好きだって顔も。

「そ、うなんですね。」

「そ。だからもう叶わない。かといって奪う勇気もないしそれにアイツはそんなの望まない。俺に気持ちなんてないし。」

「私は…照、の事が好きだったんです。好きだったじゃないな。今でも好きなんです。」

センパイには気がついたは強がらずに正直に話してた。


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