サヨナラ初恋

28.お待たせだなんて ページ28

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下駄箱に着けばまだ翔太センパイは来ていなかった。履きなれたローファーで落ちている小石で遊んでいたら肩を叩かれた。

「お待たせ」

だなんて、彼氏みたいなセリフ。
二人で思わず笑った。

「じゃ、行こっか」

また、翔太センパイは私の手を取った。するりとそのまま手を握られて指先が絡んだ。
慣れないその動作に恥ずかしくてむず痒くて顔が暑くなっていた。
そんな私なんか気にしてない様なセンパイはスタスタと歩き出す。

慌てて足を進めた。




後ろの方でチャイムが聞こえる。サボった事なんてこれまで何回かあるのに
静かなこの空気が私を変な気持ちにさせる。

「センパイ。どこ行くんですか？」

「どーしよーねー特に考えてなかった！」

くるりと振り返って屈託のない笑顔でそう言われ思わず空いている手でセンパイの肩を叩いた。

「いってぇーAちゃん凶暴なんだから」
「誰のせいだと思ってるんですかー」
「でもさ、とりあえず腹減らね？」
「あー言われてみればお腹すいたかも」

「俺、あれ食いたい」
「あれ？」
「ぎゅーどん」

「あ、それ聞いたら口の中がもう牛丼だ。」

「アハハ！分かる！俺も牛丼だ！」

周りに同じ制服の子なんて居なくて、こんな晴れてる平日の昼間に学校をサボって変なテンションの私達。繋がれてる手。
よく分からない感情と浮ついた気持ちがふわふわとして繋がれてるセンパイの手をギュッとした。


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