サヨナラ初恋

26.気休めかもしれないけれど ページ26

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そう言って先生は保冷剤を私に手渡した。


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フラフラと歩いていつもよりも倍の時間をかけて保健室に辿り着いた。
そんな私を見た先生はちょっとビックリしていたけれど。そんな酷い顔してたかな。

先生からタオルを巻いた保冷剤を受け取りベッドに腰掛けた。

「あんまりしんどいなら少し横になるといいよ」
「うんー。そうするー。」

伊達メガネを外して枕元に置く。上靴を脱いで保健室独特な匂いのする少し固めのベッドに横になる。



目を瞑ったら真っ黒な心の中がぐるぐると渦巻いて苦しくて先の見えない真っ暗闇の中で私が光を見ることなんて出来るのだろうかと不安になった。

だけど、泣き過ぎて心身共に疲れていたのか意識を手放すのにはそんなに時間はかからなかった。





まだハッキリしない意識の中で薄らと声が聞こえる。それが夢なのか現実なのかまだ区別がつかなくて、
身体の向きを変えたら仰向けで目元に置いていた保冷剤が温くなって顔の横に落ちた。

冷たかったそれが温くなるくらいは寝ていたんだろう。

段々と、意識を現実に寄せてゆっくり瞼を開ければまだ重たい気もするけど朝よりマシになった気がする。



重たい身体を起こして乱雑に脱いでた上靴は丁寧に揃えられていた。
シャツが少し皺になっている気もする。
カーテンを開ければ朝から、昼になった太陽が眩しくて目を細めた。

「あれ？Aちゃん？」

そこには保健室の沈み過ぎると有名なソファで先生と向き合って座っていた翔太センパイだった。


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