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１９話 ページ19
廉「何や、それ…。そんな嘘には騙されへんよ…？」
その言葉にも、海人はニコッと笑った。
腕に力が緩み、解放される。
海「僕はずっと、廉だけを見てたよ」
何も言えなかった。
真っ直ぐで純粋な海人の瞳に、俺はどう写っているのだろう。
黒くて光を通さない俺の目に、海人は異常なほど綺麗に写っていた。
海「好きになって…ごめんね」
海人の目から溢れ出た一筋の涙を見ながら、俺は胸を押さえた。
痛い。胸が、心が。鷲掴みにされたように、痛い。
廉「答えられるわけ、ないやん…」
俺の口から出た言葉に、海人が悲しそうに「…だよね」と言った。
やめてよ。そんな風に言わないでよ。
…汚い自分がこれ以上現れてしまうから。
海人から目をそらす。
「行こっか」と海人は力なく笑い、俺の手を引いて職員室に戻った。
その時、海人の目から溢れ出た涙を止めることが出来ていたら。
俺は後悔しかなかった。
続く (更新停止中)
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作者名：黒崎 利緒 | 作成日時：2019年4月1日 11時
