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近くにあった細道に身を隠す。
「わたあ〜」
俺でも聞いたことのないような甘ったるい声が聞こえてくる、キュッと締め付けられる心臓はきっと酒のせいと言い聞かせて。アイツも相当酔っているのだろうか、横尾さんに肩を支えられながら出てくる。
「・・・・好きなんだよぉ、わたあ?」
「はいはい、わかったから、タクシー乗ろうね、太輔。」
すでに呼んでいたであろうタクシーに乗り込み去っていく。
糸が切れたかのようにその場にしゃがみ込んでしまった。
好き?横尾さんと藤ヶ谷はそういう関係?
だからあの時、手が触れたのも嫌だった?
甘ったるい声に痛む心臓は酒のせいと言い聞かせたココロは言うことを聞かなくて。
数年前に閉じ込めたはずの想いが溢れ出てくる。
いつから、お前の隣に横尾さんがいた?
それも分からないくらい、俺はお前のことを知らなくなった。
”藤北不仲説”そんなのはないと言い張ってきた。俺と藤ヶ谷はこのつかず離れずな距離がお互いに心地いいんだって。お互い何も言わなくてもお互いのことを察していて、欠けているところはどちらかが補っていた。そうじゃなかったのかよ?俺がそう思っていただけで、本当はお前は俺を避けていたのか?
とめどなく溢れた感情を忘れるために、二人が出てきた店に入り、また酒を頼んだ。
あれからどれくらい呑んだんだろう、ふわふわとした意識の中で、最後に聞こえたのは
「北山??」
確かに俺を呼ぶ声だった。
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作者名:妖狐 | 作成日時:2019年10月19日 0時