実は俺、結婚してます―KAI― (ページ3)

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彼女じゃなくて妻ページ3

―ＫＡＩ―

「あー。腹立つ」

ｱｲﾂへの怒りをﾄﾞｱにぶつける

ﾊﾞﾀﾝと大きな音を立てて閉まるﾄﾞｱ

「わ。もうびっくりするじゃん」

「すいません」

部屋に居たﾙﾊﾝﾋｮﾝがくりくりの目でこっちを見てくる

「何かあった？」

「いえ。べつに」

ｱｲﾂのことはﾒﾝﾊﾞｰの誰にも教えてない

言えるはずがない

実は俺、結婚してます

なんて。

というより言いたくない

ｱｲﾂのこと知られたくない

「別にって。ｲﾗｲﾗしてるのに？」

うわ。ﾋｮﾝの目

好奇心に満ち溢れてる

「本当に何もないです」

急いでﾍﾞｯﾄﾞに潜り込む

これ以上なにか聞かれるのはめんどい

「最近さー、ｼﾞｮﾝｲﾝ出かけること多いよね」

「どこ行ってるの？」

ﾋｮﾝの問いかけを無視して眠ったﾌﾘをする

「ねー、ｼﾞｮﾝｲﾝ」

「彼女でもできた？」

彼女じゃない。妻。

心の中でﾋｮﾝの質問に答える

「ねー、ｼﾞｮﾝｲﾝ」

お、重い

急に背中にずっしりと重いものが乗っかってきた

「寝たﾌﾘしてないで僕の質問に答えてよ」

「ﾋｮﾝ、重いです」

「やっぱり起きてるじゃん」

ほんと。ほんとこの人には適わない

「別にただ散歩してるだけです」

「そんなｷｬﾗじゃないじゃん」

確かに。俺、散歩するｷｬﾗではなかったわ

時間さえあれば寝てるし

「やっぱり彼女？」

「違いますから」

「ねー、どんな人？」

「だから違うって言ってるじゃないですか」

「Aちゃんの写真とかないの？」

「ありませ

「えっ。いまなんて」

ﾙﾊﾝﾋｮﾝが上に乗っかってることなどお構いなしに起き上がる

「いたっ。ちょっと起きるならゆっくり起きてよ」

「ﾋｮﾝ、今なんて言いました」

なんでﾋｮﾝの口から

ｱｲﾂの名前が出てくるんだよ

「Aって言ったよ」

ﾋｮﾝがﾆﾔﾘと笑う