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看病をしてくれた彼を見送って、そのままソファに体を預ける。明日はお互いに仕事だけれど、帰っていく彼の背中を見て心の中に砂を噛んだような感覚が生まれた。
寂しいと思った気持ちが小さな不満に姿を変えいくのを頭の端で感じる。無意識に噛んだ唇がジンッと痛んだ。
引き出しに手を伸ばし、中を覗き込む。小さな箱が目に入って、じんわりと涙が浮かんだ。指を滑らせるとビリビリと弱い電流が流れるみたい。胸が、痛い。
わたしは、わがままだ。
あっちが違ったら、もう一方が魅力的に見えることは誰にだってあるだろう。でもその対象が人間になってしまっている自分は、物凄く残忍で酷い女だ。
両手に握らされて、今の彼を選んだ。
でも、ミンソクへのこの気持ちも放す気なんて最初から無かったのだ。
必要として欲しい、価値を与えて欲しい、もっと見て欲しい、目の奥に映して欲しい
その欲しい欲しいという自分の欲求のみで、選択し、一人で進んでいったのだ。
箱に指をかけて、中を開いた。そのまま一気に水で流し込む。
口の端から水が流れた。冷たいのに、胸は熱い。熱くて、痛い。
本当は、知っていた。
ミンソクは私を物凄く大切にしていてくれたことも、愛してくれていたことも、最早それすらも超えていたことも。
それなのに、私は彼に違う刺激を要求してしまった。どこかでちゃんと、分かっていたのに。
「…ごめんな、さい…。」
ズルズルとその場に座り込む。涙が溢れて、いつか見たドラマみたいに声まで溢れた。
あぁ、私はこうやって涙を流す自分に、どこかで酔っているんだと思う。結局私は、自分が可愛くて可愛くて仕方がないのだ。頭は冷静なのに、泣き方だけは感情的で、止められない。
彼の笑顔が浮かんで、目の前がピンク色の花弁で埋め尽くされた。ゆっくりとそれが晴れると、気だるそうな切れ長の目元が浮かんだ。
私は、どこかで戻れると思ってる。
お前がいないとダメなんだって、そう言って、ミンソクが迎えに来るって思ってるんだ。
なんだ、可哀想なのは
ずっとずっと、
私だったんだ。
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ギョンスくん(プロフ) - 初めまして、、拝見いたしました、とてもいい作品に出会えたなと嬉しく思うのですが、少し疑問がございまして、、鈴の音がする後輩ちゃんとどうゆう関係だったのだろうかと思うと居ても立っても居られなくえコメントさせていただきました、、(>_<) (2018年7月6日 23時) (
レス) id: 56dfa01b28 (このIDを非表示/違反報告)
かのか(プロフ) - もう！何て言ったらいいのやら。表現が素晴らしすぎる！作文さえもダメダメな私には感想さえもうまく言えないけど。素敵なお話有り難う！こんなしうちゃん、欲しい。 (2015年6月29日 0時) (レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
るー(プロフ) - 初めまして、凄く素敵なお話でした。小説を読んで泣いたのは初めてです。ほんとに素敵なお話をありがとうございます (2015年5月23日 0時) (レス) id: 54f11cc9aa (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - なんだかすごいミンソクっぽいお話で世界感とても気に入りました。他の作品も読んでみます！ (2015年5月9日 23時) (レス) id: 5ca9847b63 (このIDを非表示/違反報告)
rurarura(プロフ) - 始めまして、とてもグッとくるお話でした。もうすっかり感情移入してしまって胸が苦しくなりながらも最後のしうちゃんに全て持って行かれました…いいお話ありがとうございました^ ^ (2015年5月6日 13時) (レス) id: a13f1528f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Naeun.
| 作成日時：2015年4月29日 13時
