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背中で玄関の扉が閉まる音。私の心もピリッと音を立てた。
ほぼ会話の無かった、ここまでの道のり。彼の言う通り歩くのが辛くなった私は、肩を借りて何とかここまで着くことが出来た。
ミンソクは靴を脱ぐと、パタパタと部屋の奥へ駆けて行った。
周りを、ゆっくりと見渡す。
この部屋は、こんなにも温かい色をしていただろうか。
鼻を通って、肺に入っていく空気。そうだ、この部屋はこんな匂いがして、私はずっと当たり前にこの場所で過ごしていたんだ。
その日々は、ずっとずっと遠くに感じた。
ミンソクはスーツのジャケットを脱ぐと、ぶつぶつと独り言を言いながら部屋の奥へ消えて行った。
我に返って自分のことを見た。
泥だらけになったスーツ、手のひらを見れば擦れて、血が滲んでいた。タイツも破れて膝から血が出ている。自分の足元に置いてある鞄は、几帳面に掃除をしてある彼の玄関を静かに汚していた。
悪いことをした後の、子供のような気持ちになる。母親に怒られて、ごめんなさいが言いたいのに喉が詰まって言えない時の、あの頃の感覚。
ジワッと滲んできた涙を、彼に見えないように拭った。なんて、情けないんだろう。
洗面所から、ミンソクの姿が出てきた。タオルを何枚も並べて、私の場所まで道を作る。相変わらずの几帳面の綺麗好きだ。それさえも懐かしく感じた。
「このまま、お風呂場行っていいから。服は後で置いておく。スーツは置いてある袋に入れておいて。」
「……うん。…ごめん。」
「ん。」
私が歩き出すと、ビニール袋と紙袋で厳重に靴と鞄を包んでくれた。そんな後ろ姿を見つめながら思う。
私、子供みたいだ。ミンソクの前では、何も出来ない子供みたいになってしまう。
ギリギリと痛む胸を抑えながら、足を進めて行った。
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ギョンスくん(プロフ) - 初めまして、、拝見いたしました、とてもいい作品に出会えたなと嬉しく思うのですが、少し疑問がございまして、、鈴の音がする後輩ちゃんとどうゆう関係だったのだろうかと思うと居ても立っても居られなくえコメントさせていただきました、、(>_<) (2018年7月6日 23時) (
レス) id: 56dfa01b28 (このIDを非表示/違反報告)
かのか(プロフ) - もう！何て言ったらいいのやら。表現が素晴らしすぎる！作文さえもダメダメな私には感想さえもうまく言えないけど。素敵なお話有り難う！こんなしうちゃん、欲しい。 (2015年6月29日 0時) (レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
るー(プロフ) - 初めまして、凄く素敵なお話でした。小説を読んで泣いたのは初めてです。ほんとに素敵なお話をありがとうございます (2015年5月23日 0時) (レス) id: 54f11cc9aa (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - なんだかすごいミンソクっぽいお話で世界感とても気に入りました。他の作品も読んでみます！ (2015年5月9日 23時) (レス) id: 5ca9847b63 (このIDを非表示/違反報告)
rurarura(プロフ) - 始めまして、とてもグッとくるお話でした。もうすっかり感情移入してしまって胸が苦しくなりながらも最後のしうちゃんに全て持って行かれました…いいお話ありがとうございました^ ^ (2015年5月6日 13時) (レス) id: a13f1528f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Naeun.
| 作成日時：2015年4月29日 13時
