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ずっと気になっていた店は、私の予想通り、心の奥までも安心する落ち着いた雰囲気だった。黄色を含んだ照明が、店内を温かく演出している。
そこまで大きくない店内には、一組のカップルと、女の子の四人組、あとは仕事帰りの中年男性がいた。ひとりきりの自分が溶け込めそうな環境にそっと胸を撫で下ろす。
こんな場所で食事を、しかもひとりでしていると言う事実に少し優越感が生まれて、抑えられず口角が上がる。意味を履き違えてしまっていることは分かっているけれど、少しだけ自分が強くなったような、そんな感じがした。
食後にもう一杯頼んだ、ワインのグラスを色んな角度に傾けてみる。光の加減で表情を変えるそれに心が奪われた。疲れからだろうか。一杯程度で私の体内はひどく熱をもっていて、何をしているんだろうと思いながらもグラスを見つめる自分を止められなかった。
心に隙間風が通る音に、そっと目を伏せる。美化させられた過去に甘えているだけだろうと自分に言い聞かせた。
会計をしようと席を立った時だった。強い視線を感じて顔を上げると、カップルの女性の方が私へ強い視線を向けていた。その意味を受け取った時、心が激しく沸き立つ音がした。彼女のそれは、ただ真っ直ぐに私に向けられていた。
「かわいそうに」
そんな言葉が、彼女の体の毛穴中から溢れ出していた。蔑まれているのが分かる。本当に腹が立って、歯の奥と奥をギリッと噛み締めた。私と同じくらいの年齢の女だった。
お酒も入っているから、やろうと思えば突っかかれると思ったけれど、それでも自分が大怪我をするのは目に見えたから、手を握りしめてそっと飲み込んだ。
すれ違う時にヒールで強く地面を蹴ってやった。でもそんなんじゃ全然足りなくて、せっかく良い気分だったのに、悔しさが鼻の奥まで込み上げる。
あぁ、ムカつく。けど、この気持ちをどうしたらいいのか、分からないや。
傘を開いて、空を見上げた。
心にまたもやもやとしたものが生まれて、悔しいけど涙が一つ頬を伝った。あの女の視線を真に受けてしまったのは、自分自身でも自分が可哀そうだと思っているからだ。
薬指に光っていた指輪。彼女は幸せそうだった。
地面を蹴って歩き出す。どこにぶつけたら良いのか分からない気持ちが涙に姿を変えていくのをただ意識の端で感じていた。
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ギョンスくん(プロフ) - 初めまして、、拝見いたしました、とてもいい作品に出会えたなと嬉しく思うのですが、少し疑問がございまして、、鈴の音がする後輩ちゃんとどうゆう関係だったのだろうかと思うと居ても立っても居られなくえコメントさせていただきました、、(>_<) (2018年7月6日 23時) (
レス) id: 56dfa01b28 (このIDを非表示/違反報告)
かのか(プロフ) - もう！何て言ったらいいのやら。表現が素晴らしすぎる！作文さえもダメダメな私には感想さえもうまく言えないけど。素敵なお話有り難う！こんなしうちゃん、欲しい。 (2015年6月29日 0時) (レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
るー(プロフ) - 初めまして、凄く素敵なお話でした。小説を読んで泣いたのは初めてです。ほんとに素敵なお話をありがとうございます (2015年5月23日 0時) (レス) id: 54f11cc9aa (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - なんだかすごいミンソクっぽいお話で世界感とても気に入りました。他の作品も読んでみます！ (2015年5月9日 23時) (レス) id: 5ca9847b63 (このIDを非表示/違反報告)
rurarura(プロフ) - 始めまして、とてもグッとくるお話でした。もうすっかり感情移入してしまって胸が苦しくなりながらも最後のしうちゃんに全て持って行かれました…いいお話ありがとうございました^ ^ (2015年5月6日 13時) (レス) id: a13f1528f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Naeun.
| 作成日時：2015年4月29日 13時
