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仕事を終えて、外に出る。今日は定時の時刻に上がることが出来た。いつぶり、だろうか。
任された仕事も、やっと落ち着ついてきた。どんなに厳しい状況にも終わりがあることを、また一つ学ぶことが出来たと思う。
朝から降っていた雨は、一層勢いを増している。
アスファルトを真っ黒に染め、春の温い空気を纏って私の心にもジトッと汗をかかせていた。
足元を見れば、桜の花弁が水溜りに浮かんでいた。淡く繊細なそれは、水を含み、踏まれて、それを誰一人として目で追う人はいない。
美しい時は、一瞬だ。だからこそ、誰もが魅了されるのかもしれない。年中咲いてる花であったら、逆にこの淡いピンクを人々は鬱陶しがるのではないか。
少なくとも、私はそっち側の人間だ。
空から無感情に落ちてくる雨が、乱暴に花弁の上に落ち続けていた。
真っ黒な川面に、桜の絨毯が出来ている。
きっとこの雨は、春を連れ去ってしまうんだろう。その位に勢いがあった。
1ヶ月と少し。
チャニョルとの別れから、経った時間だ。
あの日、一頻りに泣いた私は、突然おかしなところで電源が入ったみたいに無我夢中に働き続けていた。
主電源はまだ機能していないけど、予備で付属されている非常用の方がフル稼働しているような、そんな感じ。
だからこの勢いがパタリと切れてしまうのが物凄く怖いのだ。止まった瞬間に目を伏せ続けた痛みに飲み込まれてしまいそうで。
「本当の幸せ」
きっとこれが私の知りたかったことだ。しかし自分で埋めるべき場所を、相手に縋ってしまった私に残ったものは、私自身の弱さだった。
相手に求めたってどうしようもない場所ですら、私は埋めて欲しいと叫んでいた。ミンソクと過ごした日々の中で、甘えきっていた私は、いつの間にか一人で立てることさえ出来なくなっていたのだ。
『Aは、魅力的だよ。』
チャニョルの優しい声が、頭の中で流れ、そしてひどく安心させる。彼が私にくれたこの言葉は、一生効力の切れることのない魔法の言葉だった。
寝るまでにたくさん時間が出来てしまった。嫌だなぁ、余計なことを考えそうだ。
そうだ、給料日後で財布も潤っているし、ずっと行きたかったお店に行こう。
ワインをたらふく飲んで、それでグッスリ寝て、また朝を迎えたら良い。
方向を変えた私の足元は、一つも揺れることなく、しっかりと自分の力で立っていた。
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ギョンスくん(プロフ) - 初めまして、、拝見いたしました、とてもいい作品に出会えたなと嬉しく思うのですが、少し疑問がございまして、、鈴の音がする後輩ちゃんとどうゆう関係だったのだろうかと思うと居ても立っても居られなくえコメントさせていただきました、、(>_<) (2018年7月6日 23時) (
レス) id: 56dfa01b28 (このIDを非表示/違反報告)
かのか(プロフ) - もう！何て言ったらいいのやら。表現が素晴らしすぎる！作文さえもダメダメな私には感想さえもうまく言えないけど。素敵なお話有り難う！こんなしうちゃん、欲しい。 (2015年6月29日 0時) (レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
るー(プロフ) - 初めまして、凄く素敵なお話でした。小説を読んで泣いたのは初めてです。ほんとに素敵なお話をありがとうございます (2015年5月23日 0時) (レス) id: 54f11cc9aa (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - なんだかすごいミンソクっぽいお話で世界感とても気に入りました。他の作品も読んでみます！ (2015年5月9日 23時) (レス) id: 5ca9847b63 (このIDを非表示/違反報告)
rurarura(プロフ) - 始めまして、とてもグッとくるお話でした。もうすっかり感情移入してしまって胸が苦しくなりながらも最後のしうちゃんに全て持って行かれました…いいお話ありがとうございました^ ^ (2015年5月6日 13時) (レス) id: a13f1528f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Naeun.
| 作成日時：2015年4月29日 13時
