Adulte amour（アデュルト アムール）

episode 23 ページ24

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『 そして〜！









阿部顕嵐〜！！！ 』









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そんなはずが…なかったのだ。









やっぱり顕嵐、君だった。









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髪色は見慣れていたはずの黒では無く
金に近い茶髪だった。

目つきがどこかしらキツくなっている気がする。
厳つくなったね、阿部さん。









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ファンの女の子に向かって手を振る顕嵐。
徐々にこちらへと近付いてくる。


一か八か私は手を伸ばした。
触れられる距離に彼がいる。


彼まで約2メートルほどの距離。
頑張れば届く、そんな距離。









「 あ、！らん！ 」









そっと、触れるだけのハイタッチ。
いつ振りだろうか。彼に触れたのは。


彼の手から彼の体温が私の手へと移る。
外見は変わっても大きくて温かい手は変わらない。









一瞬目が合ったけどニコッと微笑まれただけで
サラッと遠ざかって行く。





バレた？
いやまさか。









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バレないよ。
だって顕嵐は私を知らない。





私は阿部顕嵐の彼女だった頃の
白石Aじゃない。









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あの時の私なんてもうどこにもいないよ。
そう、どこにも。





全部捨てたの。
失う物なんて何も無い。









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フツフツと浮き上がってくる
私の中の黒い感情。









私を振ったこと、後悔させてあげる。









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「 面白くなりそう 」









公演後、涼介にラインを打ちながら
そんな事を考えていた。









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