Love Portion N°9 (ページ10)

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あれからホテルの自分の部屋にこもって、
一人で飲んでる。

時計の針は午後5時50分。

出張会議は今日で終わり。だから今日はみんな飲みに行ってるけど…

『はぁ…』

よりによってなんでセフンに、最後に捕まっちゃうかなぁ…

『なんであんなイケメンなのよ！！反則！！』

ベッドに勢いよくダイブすると、スプリングが大きくたわんだ。

…

腕を掴んできた、男らしい手首に巻かれていた、腕時計。

ビシッと決めたスーツに不釣り合いな、少し古風なものだ。

「イギリス人は成功したやつとか、成金が大嫌いなんだ」

セフンはそう言ってお祖父様のものだという腕時計をいつも大切につけていた。

『あーもう…』

セフンの浮気性に辟易してフッたものの、未だに好きな自覚がある。

それが問題。

だって嫌いになれないんだもん。

それどころか、会うたびに惚れ直してる。

こんなに素直になれないのは、あんなにお互い夢中だったから？

その他色々を思い出して一人で赤くなる。

私もバカな女だわ…

『まったく…』

いそいそと支度を始める。

時計の針は午後5時55分。

グラスを二つ用意して、ライトを消し、部屋を出た。

どうせ”あの時”みたいになるんでしょ、わかってる。

わかってても、足がロビーに向かうのは

「Good evening, Miss」

ロンドンっ子の鼻持ちならない魔法にかかっちゃったから。

[N°2 Dirty Mouth] Fin.