Love Portion N°9 (ページ3)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:29,646 hit

＊ページ3

「ざるそばでお待ちのお客様〜」

はい、と嬉しそうに手を上げるフランス生まれ。

『よく飽きないね…』

オフィスから少し離れた贔屓の蕎麦屋。

呆れる私も人のことは言えず、今日も今日とてとろろそばだ。

へへ、と笑って目の前の人はタッパーを取り出す。

中に入ってるのは今朝私が詰めたチーズと果物。

ランチがそばであれなんであれ、フランス式デザートは外せないらしい。

「んー最高。ワインもあったらもっといいんだけど」

『…食文化が混在しすぎててちょっとわかんないわ』

そばをつるりと飲み込み、チーズを美味しそうに頬張ってから

「でもさ、人生において大切なのは、本当に、これだけだよ。美味しいご飯と、目の前に愛する人」

『はいはい』

「ギャルソン、…じゃなかった、すみません、」

通りがかったバイト君にそば湯を頼む、わさびに涙目のセフン。

思わずかわいい、と笑ったらふてくされて
ほっぺをつねられた。

セフンがいるだけで、なんでもない毎日が特別になる。

古い映画の中にいるみたいに。

＊＊

私のどこがいいの、と聞いてみたことがある。

セフン曰く、淡々としていて、媚びないところがセクシーなんだとか。

今まで付き合った人には

「何考えてるのかわからない」とか

「クールすぎる」と言われて振られてきたのに。

ミステリアスぶってるとか、そんなつもりは微塵もない。

友達によると、考えこんでいるのを邪魔してはいけない、と思わせられるらしい。

ぼーっとしてるだけなのに。