Love Portion N°9 (ページ1)

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#1 Homme Fatale 【Parisien】ページ1

恋人の話をしようと思う。

付き合い始めて三ヶ月の、年下の彼氏。

恋愛経験が少ない私を神様が哀れに思ったのか、
ある日、絵に描いたような美青年が私のいる部署に配属されてきた。

「やばくない？なにあのイケメン」

「いいなー私も隣で仕事したい。秒で仕事終わらせられる」

違う部署の女の子たちからの嫉妬と羨望のため息を肌で感じつつ、
隣のデスクを横目でそっと見る。

オ・セフン、新入社員。

私が担当で、教育を任されているけど彼には”教育”なんて不要だ。

セフンが視線に気づいて笑いかけてきたから慌てて前を向く。

するとPCの画面に現れる通知。

“なんで見てたの？C’est la vie～(仕方ないなぁ) 家帰ったら…”

最後まで読まずに通知を消す。

仕事中はダメって言ったのに。

隣で拗ねる気配を感じつつ、黙々と書類を仕上げていく。

優秀で小生意気、自分流を貫く。

自己紹介の挨拶で、両頬に軽いキスを落とされた時には腰を抜かしそうになった。

彼が生まれも育ちもパリだというのを聞かされたのはその後だ。

慣れない人には無愛想、その癖初対面の人がどぎまぎしてしまう挨拶をするのがパリジャンというものらしい。

飄々としているけれど、お洒落に費やす時間とお金は惜しまない。

恋愛についての価値観もなんていうか、縛られていない。

「告白って不自然。ダサい」と言ってのける人なのだ。

だから何回かご飯を一緒に行ったり、休日に出かけたりしているうちに、いつのまにか恋人になっていた。

というか一緒に住むようにまでなっていた。

展開早くない？とか、彼にそういう常識は通用しない。