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アメリカの家に着いたのは日本を発ってから約18時間後だった。時差は13時間。東京よりも少しだけ寒いこの街は何年経っても変わらない。
いきなり帰ってきた私を何も聞かずに家族は迎え入れてくれて、久しぶりに少しドライブでも行こうと兄が連れ出してくれた。アメリカでも日本でも、私が塞ぎ込んでいると兄はよく海に連れて行ってくれた。浜辺に座りながら私の話を何も言わずに聞いてくれる。そんな兄との時間が好きだった。
「［さて、そろそろ帰ろうか］」
『［うん］･･･あ、電話』
「日本の友達？出な、車あっためとくよ」
『･･･ありがと』
スマホにはdiscordの着信画面
加賀美さんの名前とアイコンが表示されてる
友達だと言い切れたら、どんなに気が楽だったかな
一度大きく深呼吸をして通話ボタンをタップする
『もしもし』
「･･･すみません、こんな時間に。しばらくお休みされると聞いて、とにかく謝りたいと思いまして」
『え？そんな、謝らなくちゃいけないのはわたしの方･･･
「いえ、悪いのは私の方です。･･･峯邑さんがお休みされる本当の理由は甲斐田さんから聞きました。あの、何も言わなくて、答えなくていいので聞いていただけませんか？」
『･･･はい、』
「ありがとうございます。
･･･峯邑さんが配信お休みされると知った時はびっくりしました。すぐに連絡したかったのですが、あんなことを言った手前なかなか勇気が出なくて」
「それで、さっきまで不破さんと甲斐田さんと一緒にいたんですが、そこで甲斐田さんに峯邑さんに何があったか教えて貰いました。･･････その時にもしかしたらもう会えないかも顔を見れないかもって思ったら、居ても立っても居られなくて･･･。」
加賀美さんに掴んだ手を振り解かれた瞬間を思い出した
あの時は表情がわからなくて何を考えているかわからなくて怖かったけど、こうやって言葉で伝えてくれるのが加賀美さんらしいと思った
「この前は、あんなこと言ってしまってすみませんでした。話す気になれない なんて言うべきではありませんでした」
加賀美さんの声に混じって波の音も聞こえてくる
ささくれ立っていた心も少しだけ和らいでいく気がした
『･･･わたしの方こそ、ごめんなさい。気にかけてくれて嬉しかった、嬉しかったのに。ちょっとパニックになって拒否してしまいました』
「大丈夫です、こうやって話せたので自分の気持ちを整理できました」
『整理？』
「はい。･･･あの、こちらに帰ってきますよね？戻られたら、お伝えしたいことがあります」
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作者名：雨 | 作成日時：2022年9月23日 18時
