Tell me that you love me.【kgm】 (ページ26)

今日:5 hit、昨日:10 hit、合計:119,809 hit

_ ページ26

映画を見終わったあと、見たいものがあるからとお互いの買い物に付き合って、今は少し早めのディナーということで加賀美さんオススメのお店に入ったところだ。上映直前にあんなこと言われて、正直言うと映画の内容もどんなお店に立ち寄ったかも端々しか覚えてない。違うことに集中していても、ふとした瞬間に思い出してしまう。

「かわいいなって思って、つい」

(まーた思い出しちゃった・・・)

「峯邑さん？」

『あ、はい！すみません』

「大丈夫ですか？何にするか決まりました？」

『烏龍茶にします！』

「呑まないんですか、何か珍しいですね」

『そうですか？帰ったらやらなきゃいけないことたくさんで、、加賀美さんは進んでますか？にじフェスの準備』

「あ〜...たくさん、そうですね。まだ日はあるとはいえ、準備することは山積みですね」

『ですよね。お酒も呑みたいんですけど、それはまた今度にします』

「また今度・・・いっしょに出かけてくれます？」

『それは、断る理由がない、です』

「よかった」

だから、ずるいって。
優しくこっちを見る目も、お店に入ってから実はずっと触れている膝も、たまに上ずる声も全部計算なんじゃないのかと思うくらい加賀美さんからの好意を少しだけ感じて取れる。勘違いかもしれないけど、その事実が嬉しい。

・・・

「そういえば、この前お伺いしたかったんですが...オリバーさんと仲良いんですね」

『オリバーですか？』

「はい、スタジオで...その..ハグというか抱き合っているのを見かけまして...」

『オリバーは昔馴染みです。海外で暮らしてた頃近くに住んでて。親友みたいな感じですかね』

「親友...ほんとに？」

『それ以上も以下もないですよ』

「そっか、そうですよね。お二人距離が近かったので、その...恋人なの、かな、と思ってました。違うなら良かったです、安心しました」

『安心、したんですか』

「は、い・・・・ってちょ、ちょっと待って、すみません。こんなこと言うつもりじゃ」

『はは、耳赤くなってますよ』

「くっ見ないで...！」

『・・・聞いてくれて、嬉しかったです』

「・・・」

うわーって言いながら顔を覆っていた手がこちらに伸びてきて、あの日と同じように頬を撫でられる。

『加賀美、さん？』

あの日と違うのは撫でていた手がそのまま添えられてゆるく引っぱられていて、それから加賀美さんの顔がゆっくり近づいてきている。わたしは抵抗する気もなくて目の前の唇を見つめた。