小瀧家 ページ4
＊
「ただいま〜！」
玄関を開けて、小瀧がでかい声で言う。
あ、なんかお菓子の甘い匂い…
えぇなぁ、こんな家。
『望おかえり〜！』
エプロンを付けた小瀧のお姉さんが、キッチンから飛び出して来た。
『…あれ？Aちゃん？久しぶりやねぇ』
学ランの小瀧に抱き付いたまま、私に気付いたお姉さんが声を掛けてくれる。
『お久しぶりです。急にすいません』
「全然ええよ！ゆっくりしてってな」
『ありがとうございます』
「流くんもいらっしゃい」
「お邪魔しまーす」
藤井先輩は顔馴染みみたいで、自分ちのように上がって行く。
「姉ちゃん、ケーキは？」
小瀧は学校とは別人。
デレデレに甘い顔で、
キッチンに戻るお姉さんに後ろからくっついて付いて行く。
「もう出来るから、手洗って着替えておいで」
「はーい」
小瀧はお姉さんの回りをうろちょろしてから、キッチンから出て来た。
「俺着替えて来るから、その辺座ってて」
小瀧はポケットに両手を突っ込んで言うと、階段を上がって言った。
…その辺と言われても。
リビングのソファーでは、藤井先輩が我が物顔で寝そべっている。
「流くん！手ぇ洗ったん！？」
お茶を持ったお姉さんがリビングにやってきて、藤井先輩の膝を叩く。
「……洗ってくる」
藤井先輩はむっくりと起き上がると、おもむろに学ランを脱いで、素直に洗面所に向かった。
「ごめんなぁ。座ってなぁ」
お姉さんは空いたソファーを差してにっこり。
テーブルに可愛いティーセットを置いて、紅茶を淹れてくれた。
…ええなぁ。
こんな優しくて綺麗なお姉さんがいたら、そりゃあ小瀧もシスコンになるわな。
何気に藤井先輩まで従えてるし。←
大人の女って感じやなぁ…
……中間先輩も、こんな女の人が好きなのかなぁ……
＊
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作者名：すたば娘。
| 作成日時：2016年5月12日 19時
