東海物語。3

■産まれる。青ver. ページ45

り「入院？」

「…うん、赤ちゃんね、ちょっと成長止まっちゃってるかもって」

り「…大丈夫なの？それ」

臨月間近。

元々小さいと言われていたけれど、やっぱり少し成長がゆっくりだということで。

「まあ、もういつ生まれても大丈夫な週数だから、様子見で、って」

り「…そっか、」

「…心配？」

り「…そりゃあ、ね。赤ちゃんもだけど、Aのことも心配」

「わたし？」

り「ひとりで入院、できるかなって」

「そっちぃ？！」

けらけら笑うりょう。

「寂しいのは、りょうの方でしょ」

ちょっと冗談のつもりだったんだけど。

り「…まあね」

「…え、ほんと？」

り「そりゃ寂しいよ。一緒に暮らし始めて、お腹の中にひとり、新しい生命が宿って。…また、ひとりとか」

…なんだか、意外な一面。

思わず、ぎゅってする。

り「え、なになに」

「…愛おしい」

り「バカなの？」

「…へへ、」

り「で、いつからなの？」

「明日」

り「…そりゃまた、急だね」

「…ごめんね」

り「あ、いや。…そうだよな、生命のことだもんね」

「…それでね、着替えとか、毎日持ってきて欲しくて…」

り「ああ、俺、行くから。心配しないでそこは」

「ほんと？撮影忙しいでしょ？」

うーん、と少し、考える。

り「…大丈夫。逆に、撮影だから、中抜けとかしても編集でなんとかなるから」

「…ありがとう」

ふ、と微笑み、わたしの頭をぽんぽんする。

り「当たり前でしょ。…家族のためなんだから」

「〜ｯりょお〜ｯ」

り「はいはい、寂しいのはAの方だよね」

「りょうと離れて過ごすとか…無理」

りょうといるとほんと、甘えちゃう。

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