東海物語。3

■プロポーズ大作戦。橙ver.3 ページ4

てつやside


り「…で、結局教えたの？」

て「んー…」

と「あほやん」

り「Aの気持ち考えなよ」

あのあと結局俺は連絡先を教えてしまった。

その場で「彼女だよ」って言えばそれですんだ話だったのに。

て「炎上したらまずいなって咄嗟にその気持ちが出ちゃって…」

虫「もちろんそれもわかるけど」

り「…で？そのあとAは？帰っちゃって？お前ものこのこ帰ってきたと」

Aちゃんは急に用事思い出したとか言って、すぐ帰っちゃった。

嘘だってわかってるのに、自分のしたことがあまりにも申し訳なさ過ぎて止めることができなくて。

と「お前Aのことどー思っとんの？」

て「好きだよもちろん」

と「じゃあちゃんと大事にしろよ」

て「しとるよ」

と「してねーから今こーなってんじゃねぇの？！」

虫「やめなよとしみつ」
虫「てつやも、東海オンエアを守るためにとっちゃった行動なんだと思うし」

と「…だからって」
と「だからってA傷つけていいのかょ、」

り「…飾り付けまでしたのにねぇ…」

俺の家には、不器用な男どもが折り紙で作った輪っかの飾りつけやら、風船やらで溢れていて。

控え室を撮るリビングの真ん中に、大きなケーキ。

『結婚してください』の文字が書かれたチョコレートのプレートが乗っている。

て「…はぁ」

そう、2年記念日。

プロポーズ、をしようと思っていた。のに。

り「今からでも遅くないし、Aのとこ、行ってあげなよ」

虫「そんでここ連れてきて、プロポーズ成功させて、TwitterやYouTubeに思っきし公開してやりなよ、『彼女います』って」

り「プロポーズ成功ならもう嫁だね」

虫「僕らが炎上ごときでなんかなると思う？」

り「炎上が怖かったらYouTuberやってらんないよねぇ」

と「炎上したらさせときゃえーがや」
と「勝手に騒がせときゃ勝手に収まってくるわ」

り「ほんとそれ」
り「いちいち相手してらんないよ」

と「てつや」

と「お前がいらねーなら、俺がA貰っちまうからな」

て「…やらんわ！」




東海オンエアっていうグループは、口うるさくてお節介な奴ばっかだけど。

でもそのお節介があるおかげで自由にバカやれるんだった。

そしてこいつらがたかが炎上ごときで壊れるほど、簡単な仲じゃないってことも俺はよく知っていたはずなのに。


俺はAちゃんの家に向かって車を走らせた。

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