5：side RENJUN ページ35
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『消えちゃうかと思ったよ……』
「誰が？」
「お前がだよ」
「おれ？」
『他に誰がいるの？』
「いや なんかごめん」
『だから 違うでしょ』
「そうだ ありがと……」
『ううん 戻ってきてくれてよかった』
「Aがいきなり『あたしの天使が行っちゃう！』とか言って走り出して」
『それは！だって！』
『ここでジェノとご飯食べようと思って ロンちゃんかナナちゃんがきっといるよーって話しながら歩いてたらロンちゃんが一人でふらふら歩いてるのが見えて』
「座ったと思ったら俯いたまま動かなくなるから なんかおかしいって」
『ロンちゃんは天使だからさ』
「またそんなこと言ってんの？A」
『だって絶対どっかに羽隠してるよこの子』
『ちなみにナナちゃんもね』
「ヤ⋯⋯ ジェミニまで⋯⋯」
「おれだけじゃなくて ジェミニもなの？」
『あの子もたまに消えちゃいそうなときあるでしょ』
「ほう……」
「そういうことか」
『逆にどういうことだと思ってたの』
「いやあ よく女の子たちが言ってるのはさあ」
気づけばヌナもおれの胴に横から抱きついたまま器用にベンチに座っていて
おれを間に置いたまま何事もなかったかのように会話をする二人が何だか双子の漫才師みたいで たまに口を挟めば意味のわかるようなわからないような不思議な世界観から返事が返ってきて
まともなおれにはやっぱりついていけないけど 既視感のある微笑ましい感じはジェノとジェミニが喋ってるときの柔らかな甘さのある空気に似ている気がして
でもヌナとジェミニが喋ってるときはヌナがジェノみたいな雰囲気になるんだよな とか
じゃあ3人で喋ってるときはどうなるんだろう とか
口に出したら変な目で見られそうなことをとりとめもなく考えていたら不意にさっきまでの心の閉塞感はどこかに吹き飛んで視野も戻って いつの間にかおれの日常が取り戻されていたことに気付いた
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作者名：しゃんぱんはにー | 作者ホームページ：http://twitter.com/7honey_chuu
作成日時：2022年2月17日 19時
