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なのに…
つい一週間前のことだった。
今夜のように、カウンターでヒチョリヒョンとしゃべっていたところ、開いた扉。
いつもなら「疲れた〜」なんて零しながら俺の隣に座ってくるのに、下を向いたまま、なぜか、ふた席ほど空けて座ったヌナ。
「…ギムレット」
最初から強いやつ頼むなぁ…
ヒョンが「ゆっくり飲めよ」と忠告したにも関わらず、ぐいっと一気に流し込んだ。
グラスを置いた瞬間、顔を上げたヌナの目尻が光っていた。
「A、どした？」
「…振られた…」
ただ一言、そう呟いたヌナは、「おかわり」とヒョンにグラスを差し出した。
「…なんで？」
「…結婚、するんだって」
ヌナの恋人は、1年前からパリに武者修業中。
その間に、現地で日本の女とデキちゃったらしい。
ほんっと…ひどい話だ。
だって…俺は、ヌナとその人が、結婚するもんだろうって、思ってたから。
ヌナの口から出てくるその人は、長身で、イケメンで、パティシエとしての腕も確かで、尊敬できる人物だと、酔っぱらったヌナがよく話していた。
「彼がパリから帰って来たら、私もそろそろ、身、固めようかな」なんて、30歳過ぎた大人の女性が、恋する少女みたいな顔して、つぶやいていたっけ。
バーの弱い照明の下でも、ふた席離れていても、ヌナの横顔はやつれていて…
SOSを発信しているように、感じたんだ。
2杯、3杯…
強い酒をあおったヌナは、当然のごとく、ベロベロに酔っぱらってしまった。
でも、決して恋人のこと、責めるようなことは、言わなかった。
「私、何がいけなかったんだろ」
「頑張ってた、つもりなんだけどな…」
なんて、弱々しい言葉を吐き、そのたび、ヒチョリヒョンに「お前は頑張ってるよ」って、頭を撫でられて、少しご機嫌な顔をして…
を繰り返し、いつの間にか、カウンターに突っ伏して眠ってしまった。
「A…ほんとにアイツのこと、好きだったからな」
ヒチョリヒョンが苦笑いしながら呟いた一言に、細い棒のようなもので胸を刺されたみたいな、そんな痛みが走って、戸惑った。
腕を枕替わりに眠るヌナの顔は、8つも年上の人とは思えないほどあどけなくて、頼りなくて…
そしたら、カウンターからヒチョリヒョンの声
「ジョンヒョナ…悪いけど、コイツ、送ってくれるか？」
今思えば…
そんなふうに思っていた俺に、ヒチョリヒョンは気づいていたのだろうか。
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miyu(プロフ) - あゆりんさん、ごまねさん！ありがとうございます！！ようやく一話更新できました。ノロノロになっちゃうかもですが、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします！ (2015年11月21日 23時) (
レス) id: 812cdb4791 (このIDを非表示/違反報告)
ごまね(プロフ) - 返信ありがとうございます♪楽しみにまってます(^o^) (2015年11月21日 20時) (レス) id: f2598c3f20 (このIDを非表示/違反報告)
あゆりん(プロフ) - そうだったんですか!次の更新楽しみしてます♪頑張ってください(*^^*) (2015年11月21日 20時) (レス) id: 8609184879 (このIDを非表示/違反報告)
miyu(プロフ) - またよかったら、読んでやってくださいませ！ (2015年11月21日 20時) (レス) id: 812cdb4791 (このIDを非表示/違反報告)
miyu(プロフ) - ごまねさん、あゆりんさん、玉ちゃんふぁみりぃさん、みーこさん！このたびは読んでいただき、また、楽しみにしてくださって、本当にありがとうございます！実は、続編がまだ更新できておらず…お待たせしておりすみません>_< 更新でき次第公開します！ (2015年11月21日 20時) (レス) id: 812cdb4791 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miyu | 作成日時：2015年10月14日 22時
