脱出〈ギョンス〉 ページ3
店前で運良くタクシーがすぐつかまって、
運転手に彼女の住所を見せて、お願いする。
携帯を取り出すと、
目に飛び込んで来た時刻に、深いため息を吐く。
彼女に、今から向かいます、とメッセージを送ると、
すぐに、わかりましたと返信が来た。
・・・相当待たせてしまった。
僕をずっと待ってくれているんだ。
胸が痛む。
携帯が鳴って、見ると彼女からまたメッセージ。
〈(韓)わからなかったら電話ください。ドアの鍵は開けておくので、そのまますぐに入ってきてもらって大丈夫です。〉
書かれている部屋番号を記憶した。
彼女の方も、配慮してくれているのが嬉しい。
同時に、申し訳なく思う。
普通の相手になら、する必要のない心配を、かけさせている。
さっきの店がどの辺にあるのか、
彼女の家もいまいちどの辺だったかわからず、
運転手にどのくらいかかるか聞いてみる。
返って来た答えに、僕は軽く絶望して背もたれに体を預けた。
一分でも早く、着きたい。
ふっと鼻をかすめる、
自分から放たれてるタバコ臭にイラッとする。
台無しだ。
彼女は明日仕事があるんだろうか。
こんな時間から、訪問するなんて・・・。
彼女も正直、勘弁してって思ってるかもしれない。
勧められた料理も仕方なく食べて、
お腹も満たされてしまっているし・・・。
たくさん用意してくれていたら、どうしよう。
その前に、彼女は食べずに、待っているんじゃないか。
・・・はぁ〜・・・。
きっとお腹ぺこぺこなんじゃないか。
今日はもうダメなのかもしれない。
運が悪い。
厄日かも・・・。
ぼーっと流れる夜景を見ながら
どんどんネガティブな思考に占拠されていく。
長い間走って、ようやく見覚えのある景色の中に入った。
ここら辺で、彼女を降ろした・・・。
その場所を過ぎると、案の定タクシーは速度を落とし、
アパートらしき白い建物の前で停まった。
タクシーを降りて、俯き加減で中に入る。
急に心臓の動きが早くなって来て、苦しい。
エレベーターに乗り込んで、目的の階まで昇る。
降りて、彼女の部屋を探した。
遅い時間が功を奏して、
誰ともすれ違わずに、彼女の部屋を見つけた。
携帯を開いてもう一度確認をする。
・・・ここだ。間違いない。
ふーーーっと長い息を吐いて、とりあえずインターホンを鳴らす。
そしてすぐにドアノブに手をかけ、少しだけドアを開く。
隙間から、中にすっと入り込んだ。
・・・なんか空き巣の気分。
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raiko(プロフ) - 雅美さん» 雅美さん!ありがとうございます!楽しんでいただけたでしょうか!?いつもコメントしてくださって、ほんとに嬉しかったです。雅美さんはギョンスペンだと思っていました^^私も書いていてどんどんギョンス君が好きになっていきました^^ほんとにありがとうございました〜 (2015年7月10日 23時) (レス) id: f511272a3a (このIDを非表示/違反報告)
雅美(プロフ) - 完結おめでとうございます(^o^)/私は、最近EXOが気になってハマって日々お勉強しておりますが、そんな時にこのお話しに出会いましてD.Oが益々気になっております(笑)~(^∇^)メンバー間のわちゃわちゃも大好物ですっ! ホントに楽しかったです!ありがとうございました! (2015年7月10日 22時) (レス) id: 93047d4dc5 (このIDを非表示/違反報告)
raiko(プロフ) - 美桜さん、やっぱりコメントをくださいましたね〜本当に今までありがとうございました!助けられました!ごめんなさい〜もう多分書かないと思います〜疲れましたぁ〜(笑)ニョルペンさんだったんですか!出番が少なくて、ごめんなさいでした!ありがとうございました〜! (2015年7月10日 20時) (レス) id: f511272a3a (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 完結おめでとうございます(`・ω・´)ギョンスに終始キュンキュンさせてもらいました!もし次回作がお決まりでなかったらチャニョルverをお願いしたいです!チャニョルペンでしてぜひraikoさんで読んでみたいです〜 (2015年7月10日 20時) (レス) id: 6dbe27c799 (このIDを非表示/違反報告)
raiko(プロフ) - 美桜さん» やりましたねー!美桜さんにも祝福されて、本当に良かったです〜!いつも見守ってくださって、ほんとにありがとうございます! (2015年7月9日 20時) (レス) id: f511272a3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:raiko | 作成日時:2015年7月2日 1時